アルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテ

グランスポルト・クアトロルオーテ

グランスポルト・クアトロルオーテ（Gran Sport Quattroruote）は、イタリアの有名な自動車メーカーであるアルファロメオが1965年から1967年の間に生産した2ドアのオープンカーです。このモデルは特にスポーツカー愛好家の間で高く評価されており、1960年代のイタリア自動車の魅力を感じさせてくれます。

開発の背景

グランスポルト・クアトロルオーテの開発は、自動車雑誌「クアトロルオーテ」の編集長であり、自動車デザインに情熱を注いでいたジャンニ・マッツォッキの提案から始まりました。彼は1930年代に活躍した名車である6C・1750グラン・スポルトを現代に復刻したいと考え、当時のアルファロメオの技術を活かしつつ新しいデザインを施すことを目指しました。

デザインと技術

このプロジェクトにはカロッツェリア・ザガートが関与し、オリジナルの6C1750を参考にしながらも、当時の技術を駆使して現代的な解釈を施したデザインが生まれました。エクステリアはザガートの手によるもので、美しいラインと流麗なフォルムが特徴です。特に印象的なのは、当時の図面を引き出し、それを基に新たにデザインを行った点です。

パワーユニットには101系ジュリアTIおよびジュリア・スパイダーと共通の4気筒1,600cc DOHCエンジンが使用され、これにラギングロック機構を組み合わせたギアボックスが搭載されています。足回りも同様にジュリアの設計が踏襲されていますが、ステアリング機構にはラック・アンド・ピニオン式が採用され、より軽快な操縦感を実現しています。これにより、重量配分も改善され、運転が一層楽しくなります。ブレーキシステムには、ボディデザインにマッチさせるためにドラムブレーキが選ばれました。

プロトタイプと生産

1965年にはプロトタイプが完成し、トリノの自動車博物館で「カロッツェリア・イタリアーナ」と題されたイベントで正式に披露されました。この時、展示されたプロトタイプはオリジナルの6C1750グラン・スポルトに倣って、右側にステアリングが配置されていました。

当初の生産予定台数は50台または75台とされていましたが、需要の高まりにより受注生産方式へと移行した結果、約92台が製造されました。特筆すべきは日本への正規輸入が行われたことで、伊藤忠オートの記録によれば6台が日本市場に投入され、その中には特別に造られた右ハンドル仕様が2台存在し、ボディの構造上の問題を解決するためにスカットル部分にバルジが設けられました。

まとめ

グランスポルト・クアトロルオーテは、デザインや技術面において極めて価値の高いモデルであり、歴史的にも特異な存在です。高い生産技術と革新的なデザインの融合が、この車を特別なものにしています。今日でも、この車を愛するコレクターたちにとって貴重なアイテムとなっていることは間違いありません。

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