アントニオ・コスタ

アントニオ・コスタ：ポルトガルの政治経歴と人物像

アントニオ・コスタは、ポルトガルを代表する政治家であり、法律家でもあります。1961年リスボン生まれ。作家であるオルランド・ダ・コスタを父に持ち、フェミニストとして知られるジャーナリストのマリア・アントニア・パラを母に持つ、恵まれた環境で育ちました。彼の父はインドのゴア、ポルトガル、フランスの混血でした。

リスボンで法学を修めた後、コスタは社会党からリスボン市議会議員として政界入りを果たします。弁護士として短い期間活動した後、政治活動に専念することに。

閣僚からリスボン市長へ

1997年、アントニオ・グテーレス政権下で国会担当相に就任し、政治家としてのキャリアを本格的にスタートさせました。その後、司法相を歴任。さらに欧州議会議員として活躍し、欧州社会党の一員として、市民的自由・司法及び内務委員会に所属していました。2004年の欧州議会選挙では、第一候補の急逝を受け、代わって選挙運動を率いるなど、その手腕を発揮しました。

2005年には、ジョゼ・ソクラテス政権の国務・国内行政相に就任するために欧州議会議員を辞任。その後、2007年のリスボン市長選挙に出馬し、当選。2009年、2013年と大差で再選を果たし、リスボン市政を率いていました。

社会党を率いて首相へ

2014年9月、社会党党首選挙で圧勝し、党首に就任。翌年の総選挙に向け、党の首相候補として選挙運動を展開しました。選挙では、財政緊縮政策の緩和、国民の可処分所得増加などを訴え、支持を集めました。

2015年の総選挙では、社会党は中道右派連合に次ぐ第二党となりましたが、コスタは左派政党と同盟を結び、議会で多数派を確保。これにより、保守政権を倒し、同年11月に首相に就任しました。

三期目の首相とEU理事会議長

首相在任中は、2019年、2022年の総選挙で勝利し、三期目の首相を務めました。しかし、2023年11月、首相補佐官の汚職疑惑を受け辞任を表明。後任の首相候補が大統領に提案されましたが、大統領は議会を解散し、早期総選挙を実施することを決定したため、コスタの首相としての任期は幕を閉じました。

その後、2024年6月には、欧州連合（EU）首脳会議において、欧州理事会議長（EU大統領）に指名されました。

人物像

コスタは、SLベンフィカの熱心なサポーターとしても知られています。リスボン市長時代には、頻繁に試合観戦に訪れ、UEFAヨーロッパリーグ決勝にも同行するなど、その熱意は高く評価されています。

私生活では、教師のフェルナンダ・マリア・ゴンサルヴェス・タデウと結婚し、1男1女をもうけています。

受賞歴

コスタは、ポルトガル、ノルウェー、エストニア、リトアニア、チリ、バチカン、マルタ騎士団、ポーランド、ブラジル、日本など、多くの国から勲章を授与されています。これらは、彼の政治活動と国際的な貢献を認められた証です。

アントニオ・コスタは、その政治家としてのキャリア、リスボン市長としての経験、そしてEU理事会議長としての新たな役割を通じて、ポルトガルの政治史に大きな足跡を残した人物と言えるでしょう。その多様な経験と実績、そして国際的な活躍は、今後のEUの政治にも大きな影響を与えるものと期待されます。

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