アーミング

アーミング: エレクトリックギターの革新的奏法

アーミングは、ギタリストがエレクトリックギターのビブラート・ユニットを使って行う演奏技術で、ギターの音色に変化を持たせるために利用されます。ビブラート・ユニットは、音を微妙に揺らすための機能を持ち、ギタリストはこのアームを操作することで音程を上げたり下げたりすることができます。この技術は特にジミ・ヘンドリックスの演奏によって広まることとなり、彼の大胆な表現がアーミングを新たなレベルに引き上げました。

アーミングの基本的な技術

アーミングの使用法は主に以下の4つに分けられます。

1. アーム・ダウン

アーム・ダウンは、ビブラート・ユニットに付いているアームを押し下げる技術です。この操作により弦の張りが緩み、結果として音程が下がります。特に、音程変化が大きいビブラート・ユニットを使用する場合、大胆にアームを押し下げることで、地鳴りのような深いサウンドを生み出すことが可能です。ジミ・ヘンドリックスはこの技術を駆使し、空爆音や悲鳴を音で表現することに成功しました。

2. アーム・アップ

一方、アーム・アップではアームを引き上げる操作を行います。この際、弦の張りが強くなり音程が上昇します。ギターの構造によってはアーム・アップが行えないものもあり、その場合には奏法が制限されることがあります。また、アーム・ダウンから音程を元に戻す動作もアーム・アップと呼ばれることがあります。

3. アーム・ビブラート

アーム・ビブラートでは、アームを小刻みに動かすことで音程を上下に揺らす奏法です。これはアーム・ダウン、アーム・アップ、両方向の動作を組み合わせることができます。この様々な運動によって得られる音色は、ギターの演奏に独特な個性を与えます。

4. クリケット奏法（Frequency Modulation）

クリケット奏法は、音を出した後にトレモロ・ユニットやアームの端を軽く叩くことによって微振動を生じさせ、音程を細かく乱す奏法です。この音響はコオロギの声に似ているため、「クリケット」という名前がつけられました。'80年代には、ブラッド・ギルスがこの技術を多用したことで彼の名前がついて「ブラッド・ギルス奏法」とも呼ばれていました。この奏法は、アーミングが確立される以前から存在しており、フェンダー社のジャガーやジャズマスターなどのギターが特にこの技術に適しているとされています。

アーミングの応用

アーミングは、エレクトリックギター特有の奏法として多くのギタリストに愛され、様々な音楽ジャンルに広く取り入れられています。特にロックやブルースの分野では欠かせない要素となり、個々の演奏スタイルや表現力を引き出す重要な技術ではないでしょうか。エレクトリックベースでも一部の機種ではアーミングが可能ですが、エレクトリックギターほどの普及は見られません。

関連項目

• - シンクロナイズド・トレモロ
• - フロイド・ローズ

アーミングはギタリストにとって自分の音楽的アイデンティティを表現するための強力な手段であり、その独特な技術は今後も進化し続けることでしょう。

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