ブラッド・ギルス
ブラッド・ギルス（Brad Gillis）は、1957年6月15日生まれ、アメリカ出身のロックギタリストです。特に、ナイト・レンジャーのギタリストとしての活動で広く知られています。
8歳でギターを始めたギルスは、ジミ・ヘンドリックスやジェフ・ベックといった伝説的なギタリストたちの音楽に影響を受け、彼らの演奏を熱心にコピーしました。19歳になると、地元サンフランシスコのファンク・ロックバンド、ルビコンに誘われ、ジェリー・マルティーニ、そして後にナイト・レンジャーで共に活動することになるジャック・ブレイズと共にバンドに加入します。
1978年、ルビコンはアルバム『シスコの熱風』でデビュー。このアルバムでは、まだギルスの特徴的な派手なギタープレイは控えめでしたが、翌年のセカンドアルバム『夢のアメリカ』では、ロック色が強まり、ギルスのギターパートも大幅に増加しました。しかし、この時点では、後に彼のトレードマークとなるアーミング奏法はまだ確立されていませんでした。
ルビコンはエアロスミスなどと共にカリフォルニア・ジャム2にも出演するなど、注目を集めましたが、1979年に解散しました。
ルビコン解散後、ギルスはジャック・ブレイズ、そしてツアーメンバーだったケリー・ケイギーと共に、さらにロック色の強いバンド、ステレオを結成しました。その後、サウンドを強化するために、サミー・ヘイガーのバンドやモントローズのメンバーだったアラン・フィッツジェラルド、そして彼の友人であるジェフ・ワトソンが加わり、バンド名をレンジャーと改名しました。しかし、カントリーバンドに同名のバンドが存在したため、ナイト・レンジャーと改名し、本格的に活動を開始しました。
また、1981年から1982年の間には、ランディ・ローズの急逝後、オジー・オズボーン・バンドのギタリストとして一時的に在籍し、日本公演も行いましたが、ナイト・レンジャーがレコード契約を結んだことを機に、ルディ・サーゾの脱退に合わせてナイト・レンジャーに復帰しました。
ナイト・レンジャーでは、アーミングを得意とするギルスと、タッピング奏法を得意とするジェフ・ワトソンの個性の違いが話題となり、5枚のアルバムを発表しました。その後、バンドは一度解散しましたが、ギルスはソロ活動を経て、ケリー・ケイギーと共にナイト・レンジャー名義でアルバムを発表しました。その後、ジャック、ジェフ、アランが再び集結し、ナイト・レンジャーは再結成を果たしました。
ギルスは、「アーミングの鬼」や「フロイド・ローズの申し子」と称されるように、アームを使用した独自の奏法が特徴です。1970年代後半に登場したフロイド・ローズは、従来のトレモロユニットとは異なり、急激な音程変化や長いサステインをチューニングをほぼ保ったまま可能にし、倍音も出しやすいという特徴があります。
ギルスはフロイド・ローズをいち早く導入し、アームダウン、アームアップ、クリケット奏法、ハーモニクスとアームの組み合わせなど、多彩なテクニックを駆使し、独自のスタイルを確立しました。特に、弦を切るリスクの高いアームアップ奏法を積極的に取り入れ、その普及に貢献しました。クリケット奏法も頻繁に使用し、ジェフ・ベックやスティーヴ・ヴァイなど、他のギタリストたちも取り入れています。
ギルスが使用する主なギターは以下の通りです。
ギブソン・レスポール・カスタム: 1967年製で、オリジナルのフロイド・ローズが搭載されています。ルビコン時代にはメインギターとして使用され、オジー・オズボーン・バンド時代には、後述のストラトキャスターと併用されました。ナイト・レンジャーでは使用されていません。現在はワイヤレスシステムも内蔵されています。
フェンダー・ストラトキャスター: 赤く改造されたフェンダー・ストラトキャスターは、「ベイビー」と呼ばれ、彼のトレードマークとなっています。もともとは、ネックとボディが外された1960年代製のストラトキャスターで、ボディはマイティマイトというメーカーのものだったとも伝えられています。ピックアップレイアウトはSSHで、このレイアウトは、彼のブレイクとともに多くのギタリストにコピーされました。このギターにもオリジナル・フロイド・ローズが搭載されており、そのフロイド・ローズは、フロイド・ローズ本人がハンドメイドで製作した初期のものの一つです。ボディに使われている塗料は、日産フェアレディZ用です。また、ワイヤレスシステムが内蔵されており、ボディ裏側の外周部に沿ってアンテナが埋め込まれています。ネックは1962年製で、塗装は黒。指板は継ぎ足され、22フレットになっています。かつてはフェルナンデスが契約を結び、コピーモデルを販売していましたが、ギルス本人が使用していたものは、市販品とは異なり、22フレットが継ぎ足されていました。
ヘイマー: 1980年代後半から、ジェフ・ワトソンと共に、ヘイマーもメインギターとして使用していました。代表的なモデルは「Scepter」の黒と赤のオリジナルカラーリングモデルで、ソロアルバムのジャケットにも使用されました。
ポール・リード・スミス・513カスタムメイド: 2007年以降は、この青いポール・リード・スミスをメインギターとして使用すると公言していますが、まだ使用頻度は多くないようです。このギターも、オリジナル・フロイド・ローズやワイヤレスシステムが内蔵されており、特注ギターを製作する「Private Stock」セクションで製作されました。同じ仕様の赤も製作されています。
アンプは、メサブギーを使用しています。
ソロ・アルバム
『ギルロック・ランチ』 - Gilrock Ranch (1993年)
『アリゲーター』 - Alligator (2000年)
ルビコン
『シスコの熱風』 - Rubicon (1978年)
『夢のアメリカ』 - America Dreams (1979年)
『カリフォリニア・ジャム・2・ライブ』 - California Jam 2 (1978年) ※オムニバス。
『カリフォルニア・ジャムII 1978』 - California Jam 2 Ontario 1978 (2017年) ※上記の増補盤。
ナイト・レンジャー
『ドーン・パトロール』 - Dawn Patrol (1982年)
『ミッドナイト・マッドネス』 - Midnight Madness (1983年)
『セヴン・ウィッシーズ』 - 7 Wishes (1985年)
『ビッグ・ライフ』 - Big Life (1987年)
『マン・イン・モーション』 - Man in Motion (1988年)
『フィーディング・オフ・ザ・モジョ』 - Feeding off the Mojo (1995年)
『ネヴァーランド』 - Neverland (1997年)
『セヴン』 - Seven (1998年)
『ホール・イン・ザ・サン』 - Hole in the Sun (2007年)
『サムホエア・イン・カリフォルニア』 - Somewhere in California (2011年)
『ハイ・ロード』 - High Road (2014年)
『ドント・レット・アップ』 - Don't Let Up (2017年)
『ATBPO ～アンド・ザ・バンド・プレイド・オン～』 - ATBPO（2021年）
Night Ranger - 40 Years And A Night (2023年) ※With Contemporary Youth Orchestra
参加アルバム
オジー・オズボーン : 『悪魔の囁き』 - Speak of the Devil (1982年)
ヒア・アンド・エイド : 『スターズ』 - Hear 'n Aid (1985年)
フィオナ (歌手) : 『ハート・ライク・ア・ガン』 - Heart Like a Gun (1989年)
TMN : 『RHYTHM RED』 - Rhythm Red (1990年)
デレク・シェリニアン : 『ブラッド・オヴ・ザ・スネイク』 - Blood of the Snake (2006年)
ヴィシャス・ルーマーズ : 『ウォーボール』 - Warball (2006年)
ヴィシャス・ルーマーズ : 『レイザーバック・キラーズ』 - Razorback Killers (2011年)
クイーンズライク : 『フリークエンシー・アンノウン』 - Frequency Unknown (2013年)
生い立ちと初期の音楽活動
8歳でギターを始めたギルスは、ジミ・ヘンドリックスやジェフ・ベックといった伝説的なギタリストたちの音楽に影響を受け、彼らの演奏を熱心にコピーしました。19歳になると、地元サンフランシスコのファンク・ロックバンド、ルビコンに誘われ、ジェリー・マルティーニ、そして後にナイト・レンジャーで共に活動することになるジャック・ブレイズと共にバンドに加入します。
1978年、ルビコンはアルバム『シスコの熱風』でデビュー。このアルバムでは、まだギルスの特徴的な派手なギタープレイは控えめでしたが、翌年のセカンドアルバム『夢のアメリカ』では、ロック色が強まり、ギルスのギターパートも大幅に増加しました。しかし、この時点では、後に彼のトレードマークとなるアーミング奏法はまだ確立されていませんでした。
ルビコンはエアロスミスなどと共にカリフォルニア・ジャム2にも出演するなど、注目を集めましたが、1979年に解散しました。
ナイト・レンジャー結成と成功
ルビコン解散後、ギルスはジャック・ブレイズ、そしてツアーメンバーだったケリー・ケイギーと共に、さらにロック色の強いバンド、ステレオを結成しました。その後、サウンドを強化するために、サミー・ヘイガーのバンドやモントローズのメンバーだったアラン・フィッツジェラルド、そして彼の友人であるジェフ・ワトソンが加わり、バンド名をレンジャーと改名しました。しかし、カントリーバンドに同名のバンドが存在したため、ナイト・レンジャーと改名し、本格的に活動を開始しました。
また、1981年から1982年の間には、ランディ・ローズの急逝後、オジー・オズボーン・バンドのギタリストとして一時的に在籍し、日本公演も行いましたが、ナイト・レンジャーがレコード契約を結んだことを機に、ルディ・サーゾの脱退に合わせてナイト・レンジャーに復帰しました。
ナイト・レンジャーでは、アーミングを得意とするギルスと、タッピング奏法を得意とするジェフ・ワトソンの個性の違いが話題となり、5枚のアルバムを発表しました。その後、バンドは一度解散しましたが、ギルスはソロ活動を経て、ケリー・ケイギーと共にナイト・レンジャー名義でアルバムを発表しました。その後、ジャック、ジェフ、アランが再び集結し、ナイト・レンジャーは再結成を果たしました。
独特な演奏スタイルとテクニック
ギルスは、「アーミングの鬼」や「フロイド・ローズの申し子」と称されるように、アームを使用した独自の奏法が特徴です。1970年代後半に登場したフロイド・ローズは、従来のトレモロユニットとは異なり、急激な音程変化や長いサステインをチューニングをほぼ保ったまま可能にし、倍音も出しやすいという特徴があります。
ギルスはフロイド・ローズをいち早く導入し、アームダウン、アームアップ、クリケット奏法、ハーモニクスとアームの組み合わせなど、多彩なテクニックを駆使し、独自のスタイルを確立しました。特に、弦を切るリスクの高いアームアップ奏法を積極的に取り入れ、その普及に貢献しました。クリケット奏法も頻繁に使用し、ジェフ・ベックやスティーヴ・ヴァイなど、他のギタリストたちも取り入れています。
使用機材
ギルスが使用する主なギターは以下の通りです。
ギブソン・レスポール・カスタム: 1967年製で、オリジナルのフロイド・ローズが搭載されています。ルビコン時代にはメインギターとして使用され、オジー・オズボーン・バンド時代には、後述のストラトキャスターと併用されました。ナイト・レンジャーでは使用されていません。現在はワイヤレスシステムも内蔵されています。
フェンダー・ストラトキャスター: 赤く改造されたフェンダー・ストラトキャスターは、「ベイビー」と呼ばれ、彼のトレードマークとなっています。もともとは、ネックとボディが外された1960年代製のストラトキャスターで、ボディはマイティマイトというメーカーのものだったとも伝えられています。ピックアップレイアウトはSSHで、このレイアウトは、彼のブレイクとともに多くのギタリストにコピーされました。このギターにもオリジナル・フロイド・ローズが搭載されており、そのフロイド・ローズは、フロイド・ローズ本人がハンドメイドで製作した初期のものの一つです。ボディに使われている塗料は、日産フェアレディZ用です。また、ワイヤレスシステムが内蔵されており、ボディ裏側の外周部に沿ってアンテナが埋め込まれています。ネックは1962年製で、塗装は黒。指板は継ぎ足され、22フレットになっています。かつてはフェルナンデスが契約を結び、コピーモデルを販売していましたが、ギルス本人が使用していたものは、市販品とは異なり、22フレットが継ぎ足されていました。
ヘイマー: 1980年代後半から、ジェフ・ワトソンと共に、ヘイマーもメインギターとして使用していました。代表的なモデルは「Scepter」の黒と赤のオリジナルカラーリングモデルで、ソロアルバムのジャケットにも使用されました。
ポール・リード・スミス・513カスタムメイド: 2007年以降は、この青いポール・リード・スミスをメインギターとして使用すると公言していますが、まだ使用頻度は多くないようです。このギターも、オリジナル・フロイド・ローズやワイヤレスシステムが内蔵されており、特注ギターを製作する「Private Stock」セクションで製作されました。同じ仕様の赤も製作されています。
アンプは、メサブギーを使用しています。
ディスコグラフィー
ソロ・アルバム
『ギルロック・ランチ』 - Gilrock Ranch (1993年)
『アリゲーター』 - Alligator (2000年)
ルビコン
『シスコの熱風』 - Rubicon (1978年)
『夢のアメリカ』 - America Dreams (1979年)
『カリフォリニア・ジャム・2・ライブ』 - California Jam 2 (1978年) ※オムニバス。
『カリフォルニア・ジャムII 1978』 - California Jam 2 Ontario 1978 (2017年) ※上記の増補盤。
ナイト・レンジャー
『ドーン・パトロール』 - Dawn Patrol (1982年)
『ミッドナイト・マッドネス』 - Midnight Madness (1983年)
『セヴン・ウィッシーズ』 - 7 Wishes (1985年)
『ビッグ・ライフ』 - Big Life (1987年)
『マン・イン・モーション』 - Man in Motion (1988年)
『フィーディング・オフ・ザ・モジョ』 - Feeding off the Mojo (1995年)
『ネヴァーランド』 - Neverland (1997年)
『セヴン』 - Seven (1998年)
『ホール・イン・ザ・サン』 - Hole in the Sun (2007年)
『サムホエア・イン・カリフォルニア』 - Somewhere in California (2011年)
『ハイ・ロード』 - High Road (2014年)
『ドント・レット・アップ』 - Don't Let Up (2017年)
『ATBPO ～アンド・ザ・バンド・プレイド・オン～』 - ATBPO（2021年）
Night Ranger - 40 Years And A Night (2023年) ※With Contemporary Youth Orchestra
参加アルバム
オジー・オズボーン : 『悪魔の囁き』 - Speak of the Devil (1982年)
ヒア・アンド・エイド : 『スターズ』 - Hear 'n Aid (1985年)
フィオナ (歌手) : 『ハート・ライク・ア・ガン』 - Heart Like a Gun (1989年)
TMN : 『RHYTHM RED』 - Rhythm Red (1990年)
デレク・シェリニアン : 『ブラッド・オヴ・ザ・スネイク』 - Blood of the Snake (2006年)
ヴィシャス・ルーマーズ : 『ウォーボール』 - Warball (2006年)
ヴィシャス・ルーマーズ : 『レイザーバック・キラーズ』 - Razorback Killers (2011年)
クイーンズライク : 『フリークエンシー・アンノウン』 - Frequency Unknown (2013年)
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。