イオンモール木曽川

愛知県一宮市木曽川町に所在する、地域の主要な商業施設である大型ショッピングセンターです。愛知県の北部、特に県内では最も西に位置するイオンモールとして知られています。

沿革と名称の変遷

このショッピングセンターは、かつて倉敷紡績の木曽川工場があった広大な敷地の再開発プロジェクトの一部として誕生しました。2002年に建設計画が発表され、翌2003年 8月20日に「ダイヤモンドシティ木曽川ショッピングセンター」の名称で工事が開始されました。当初は2004年春の開業を目指していましたが、計画は順調に進み、2004年1月には正式名称が「ダイヤモンドシティ・キリオ（DIAMOND CITY Kirio）」に決定。同年6月24日に無事グランドオープンを迎えました。開業当初の運営は株式会社ダイヤモンドシティ、核店舗はジャスコ木曽川店でした。

特筆すべきは、開業時の名称「ダイヤモンドシティ・キリオ」に付けられていた愛称「キリオ」です。このユニークな名前は、Kindhearted（親切で思いやりのある）、Impress（感動を与える）、Refresh（爽やかにする）、Interest（興味が持てる）、Only one（ただ一つの）という五つの英単語の頭文字を組み合わせたものに、所在地である「木曽川（Kisogawa）」の「Ki」と、スペイン語で「川」を意味する「Rio」を合わせた造語です。施設側が込めた親切さ、感動、爽やかさ、興味、そして唯一無二といった願いが込められており、現在の名称「イオンモール木曽川」に変わった後も、この「キリオ」という愛称で広く地域住民に親しまれています。

その後の名称変更は、運営会社の変遷やグループ全体のブランド戦略に伴うものでした。2007年 8月21日には、運営会社であったダイヤモンドシティがイオン興産と合併。これにより運営母体がイオンモール株式会社となったことを受け、同年9月22日には施設の名称が「イオンモール木曽川キリオ」に変更されました。さらに、2011年にはイオングループ全体のショッピングセンター名称を「イオンモール＋所在地名」という分かりやすい形式に統一する方針が打ち出され、同年10月21日に現在の「イオンモール木曽川」へと改称されました。これに先立つ同年3月1日には、核店舗であるジャスコ木曽川店の名称も、イオングループの総合スーパーブランド統一に伴い「イオン木曽川店」へと変更されています。

なお、このイオンモール木曽川は、かつて株式会社ダイヤモンドシティが開発・運営を手がけ、現在も営業を続けているショッピングセンターとしては、東海地方において唯一の存在となっています。

施設とテナント構成

施設内には、核店舗であるイオン木曽川店を中心に、約160の専門店テナントが入居しています。イオン木曽川店は1階と2階が売り場として利用され、3階部分は駐車場として機能しています。

開業以来、施設は時代の変化に合わせて何度か大規模なリニューアルを行っています。特に2010年11月11日のリニューアルグランドオープンでは、多くのテナントが改装され、新たな店舗も多数加わりました。さらに、2017年3月から9月にかけては二回目の大型改装が段階的に実施され、大型書店「未来屋書店」や大型家電量販店「Joshin」といった新たな大型テナントが出店。また、新設された食物販ゾーン「つむぐダイニング」には、知多の魚屋「魚太郎」や惣菜店「OSOZAi KiTCHEN mino misho」など、地域の食を意識した魅力的な店舗も加わりました。

主要な大型テナントとしては、核店舗のイオン木曽川店（売場面積約18,000m2）の他、子供用品・玩具の大型店「トイザらス・ベビーザらス」（約3,500m2）、スポーツ用品店の「スポーツオーソリティ」などがあります。

TOHOシネマズ木曽川

施設にとって重要なエンターテイメント機能の一つが、シネマコンプレックス「TOHOシネマズ木曽川」です。この映画館は、ダイヤモンドシティ・キリオのグランドオープンとほぼ同じタイミングである2004年 6月18日に開業しました。開業当初は中部東宝株式会社によって運営されていましたが、2008年 3月1日付で運営会社がTOHOシネマズ株式会社に吸収合併されたことに伴い、現在はTOHOシネマズの運営となっています。

TOHOシネマズ木曽川の存在は、地域の映画文化史においても意味深いものです。かつて、この施設が立地する木曽川町（2005年 4月1日付で一宮市に編入合併）には、帝国劇場、木曽川銀座劇場、木曽川東映劇場の三つの映画館が存在していました。町が合併して一宮市の一部となった後、一宮市内にはしばらく常設の映画館がありませんでした（最後の一宮東映が1990年に閉館）。TOHOシネマズ木曽川の開業は、一宮市にとっては実に15年ぶりの映画館の復活を意味しており、地域住民にとって待望のエンターテイメント施設となりました。

競合環境とアクセス

イオンモール木曽川は、近隣にアピタパワー木曽川店や、建て替えを経てリニューアルされたテラスウォーク一宮（旧サンテラス一宮店、アピタ一宮店）といったユニーグループの大型商業施設が立地しており、競争環境にあります。また、愛知県に位置しながらも、来店客の約3割が岐阜県からの利用者であるとされており、岐阜県内の大型ショッピングセンター、例えばカラフルタウン岐阜なども広域的な競合相手となっています。

アクセスについては、公共交通機関での利便性が高い立地です。鉄道を利用する場合、名鉄名古屋本線の黒田駅から徒歩約3分と非常に近く、JR東海道本線の木曽川駅からも徒歩約10分でアクセス可能です。バス路線も充実しており、名鉄一宮駅からは名鉄バスの「イオンモール木曽川行き」が運行されているほか、一宮市の循環バス「i-バス」の木曽川・北方コースを利用し、「北保健センター東」バス停で下車することでもアクセスできます。

結び

イオンモール木曽川は、元工場跡地の再開発から始まり、名称や運営会社の変更を経ながらも、常に地域の商業拠点としての役割を担ってきました。愛称「キリオ」に込められた願いの通り、多くの人々に親しまれ、多様なテナント構成とエンターテイメント施設としての映画館を備え、近隣地域だけでなく広域からの集客力を持つ大型商業施設として、今後も地域経済と文化に貢献していくことでしょう。

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