インフラツーリズム

インフラツーリズムとは

インフラツーリズムとは、公共施設や土木景観を観光資源として楽しむ行為を指す言葉です。この言葉は邦訳された英語であり、公共のインフラを見学するために実際に現地に足を運ぶ旅行スタイルを特徴としています。日本の国土交通省はこのツーリズムを推進し、訪日外国人旅行者の増加を狙った観光施策の一環として位置づけています。

インフラツーリズムの位置づけ

広義には、インフラツーリズムは産業観光に含まれますが、産業観光が民間企業の工場や産業遺産に焦点を当てるのに対し、インフラツーリズムはダム、橋、道路などの公共インフラが主な観光対象となります。例えば、黒部ダムはその設計段階から観光客の訪問を意識して開発されました。現在では、首都圏外郭放水路などがメディアに取り上げられることが増え、ダムカードが話題になるなど、ますます注目されています。

特に、SNSの普及により、首都[[高速道路]]の箱崎ジャンクションなどの構造美が評価され、訪れる外国人観光客が増える傾向にあります。これは、構造物が無料で見られることも大きな要因と言えるでしょう。

インフラツーリズムの課題

一方で、インフラツーリズムには危険を伴う場合も存在します。事故が発生した際の責任所在があいまいな施設もあれば、反対派による破壊活動の懸念がある場所もあります。例えば、八ッ場ダムのような施設では利用者の安全確保が重要視されています。また、工事中の現場では進行状況や安全管理の調整が常に求められ、見学者に対する配慮が必要です。

開通前の高速道路でのウォーキングイベントのように、訪問が一度限りの機会であったり、災害復興工事の現場では物見遊山的な行為が自粛されることもあります。これにより、インフラツーリズムの魅力を享受できる場面が限られることもあります。

新たな取り組み

近年では、バックヤードツアーやスカイランニングといった新しい企画が広がりを見せています。バックヤードツアーでは、普段は見ることのできない設備を見学できる機会が提供され、スカイランニングではダムの構造体を利用した運動体験が組まれています。

ダークインフラツーリズム

また、「ダークインフラ」と呼ばれる、予算超過や環境破壊を伴う公共事業の調査を行う動きもあります。これを「ダークインフラツーリズム」として形容することがあり、社会的な問題点を浮き彫りにする手法として注目されています。例えば、世界遺産に登録された熊野古道の工事において、誤った文化財の指定により古道が損壊し、修復が求められる事例が発表されました。このような活動は、公共インフラの重要性や社会のあり方を再考する契機となっています。

まとめ

インフラツーリズムは、公共インフラを新たな観光資源として捉え、地域を活性化する手段として期待されています。その一方で、事故や環境問題といった課題も抱えており、施策を進める上では慎重かつ柔軟な対応が求められています。

もう一度検索