インマルサット

インマルサットについて

インマルサット（Inmarsat）は、衛星通信による移動体通信サービスを展開する民間企業で、1979年に設立されました。元々は国際海事衛星機構として海上の安全を目的に静止衛星を活用した通信サービスを提供していましたが、その後、業務内容が拡大し、現在では陸上や航空機を含む多岐にわたる通信サービスを提供しています。

事業内容と衛星の運用

インマルサットは、これまでに合計11基の衛星を運用しており、各世代ごとに技術向上を図っています。現在運用中の衛星は以下の通りです。

• - 第2世代（Inmarsat-2）: 3基。1基は予備機です。
• - 第3世代（Inmarsat-3）: 5基（1基は予備機）。1996年から1998年に打ち上げられ、赤道上空35,786kmの静止軌道から世界をカバーしています。
• - 第4世代（Inmarsat-4）: Lバンドを使用し、3基が運用中。これにより、音声通話やデータ通信のサービスが可能です。
• - 第5世代（Inmarsat-5）: Kaバンドを使用し、高速通信が可能な3基の静止衛星を運用しています。Global Xpress（GX）サービスが提供され、通信速度は非常に高速です。
• - 第6世代（Inmarsat-6）: 2基が発注され、既存サービスの通信容量拡大が期待されています。2021年12月には1基が打ち上げられました。

これらの衛星を使って、音声通話、FAX、データ通信、インターネットなどが可能となっています。地上設備はインマルサットが運営しており、船舶や航空機などに搭載される通信端末は、サイズや機能によって様々な型式に分類されています。

歴史とサービスのデジタル化

インマルサットは、1979年に設立されて以来、業務を拡大する中で数回の名称変更を通じて成長を続けてきました。1994年には陸上や航空機向けのサービスに拡大し、1999年からは民間企業としての展開が進みました。その後、インターネット接続サービスや高速データ通信サービスが次々と導入され、通信の質は飛躍的に向上しました。

海運業界への影響

インマルサットのサービスが海運業界にもたらした影響は非常に大きく、従来の短波通信に頼ることなく、高品質な音声通話やデータ通信が可能になりました。これにより、機関故障の際の迅速な対応が可能になり、漂流事故のリスクが減少しました。また、運行計画の立案や現場での情報交換も簡素化され、業界全体の効率が向上したとされています。さらに、非常時の位置情報装置の義務化により、安全性も増しています。

日本におけるサービス

日本では、KDDIや日本デジコム、JSAT MOBILE Communicationsがインマルサットのサービスを提供しています。さまざまな通信機器の販売やレンタルを通じて、国内の利用者に対しても幅広くサービスを展開しています。インマルサットは、世界中の移動体通信のニーズに応えるため、今後も技術革新を続けることでしょう。

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