ウォークラフト

ウォークラフト（Warcraft）

『ウォークラフト』は、Blizzard Entertainmentが手掛けたリアルタイムストラテジー（RTS）ゲームシリーズです。プレイヤーは資源を収集し、拠点を築き、ユニットを生産して敵勢力との戦闘を繰り広げます。インターネット上のBattle.netサービスやLANを介して、他のプレイヤーと対戦することも可能です。本シリーズは世界的に大きな成功を収め、特に姉妹作品の『スタークラフト』と共に、RTSジャンルの発展に大きな影響を与えました。リアルタイムストラテジーとしてはシリーズ3作が発売されており、その世界観を基にしたMMORPG『ワールドオブウォークラフト』も展開されています。

世界観

ゲームの舞台は剣と魔法のファンタジー世界。人間、ドワーフ、エルフ、オーク、アンデッドなど、多様な種族が登場します。物語の中心は、勇敢なオーク・ホードと、不屈の精神を持つヒューマン・アライアンスの間の終わりなき争いです。しかし、共通の脅威に対してオークとヒューマンが協力するストーリーも存在します。『Warcraft III』以降、過去作品での固定的な善悪描写への反動から、必ずしも善悪で単純に色分けできない複雑な陣営関係が描かれる傾向があります。

ゲームモード

主なゲームモードとして、種族ごとのシナリオを通じて物語を体験できるシングルプレイモード、CPUや他のプレイヤーと自由にマップを選んで対戦できるカスタムゲームモードがあります。マルチプレイはLAN対戦やBattle.netを通じたオンライン対戦が楽しめます。Battle.netでは自動マッチング機能により、手軽に自分と近いレベルのプレイヤーとの対戦を見つけることができます。

シリーズ作品

Warcraft II 暗黒大戦 (Warcraft II: Tides of Darkness)

アゼロスを制圧したオーク・ホードがローデロン大陸へ侵攻し、ヒューマンはドワーフやエルフと協力してアライアンスを結成し対抗します。世界的に大ヒットした作品で、オークとヒューマンのユニット性能は基本的に同等ですが、魔法の性能に違いがあり、対戦ではオークの呪文が有利に働く場面がありました。資源は金、木材、石油の3種類です。

拡張セットとして、『ダーク・サーガ』や『新たなる扉』が発売されました。特に『新たなる扉』では、通常のユニットより強力で特殊能力を持つヒーローユニットが初めて登場しました。ゲーム機向けには、本体と拡張セットを合わせた『Warcraft II: the Dark Saga』もリリースされています。

Warcraft III 「Reign of Chaos」

第二次大戦後のヒューマン王国に蔓延する不吉な疫病、デーモンの支配から逃れたオークの新たな英雄の登場、そしてデーモン軍団の再来を背景に物語が展開します。

グラフィックが3DCGとなり、視点移動の自由度が向上したことで、シナリオの演出が大幅に強化されました。プレイ可能な種族はヒューマン（人間、ハイエルフ、ドワーフ連合）、オーク（オーク、トロール、トーレン混合）、アンデッド、ナイトエルフの4つ。各族でユニット、建物、資源の収集方法が大きく異なります。最大の特徴はヒーローユニットの存在で、戦闘やクリープ討伐でレベルアップし、アイテムを使用することで戦略の幅が広がります。現在主流となっているのは、拡張パック『Warcraft III: Frozen Throne』を適用したバージョンです。

Warcraft III 拡張セット 「The Frozen Throne」

『Reign of Chaos』後の混乱した世界を舞台に、追放されたイリダン、リッチキングとなったアーサス、反乱を起こしたハイエルフなど、様々な勢力の思惑が交錯します。RPG形式のシナリオが追加され、各族に新たなヒーローやユニット、ショップが追加されました。中立ヒーローも登場し、ゲームプレイの多様性が増しました。

ウォークラフト III の種族

• - ヒューマン (Human): 人間、ドワーフ、エルフの連合軍。個々のユニット性能は平均的ですが、労働ユニットの活用や後半ユニット、強力なキャスター陣によって真価を発揮します。防御施設に優れ、守りを固めやすい特徴があります。
• - アンデッド (Undead): バーニング・レギオンによって生み出されたスコージ軍勢。ユニット性能は低い傾向がありますが、独自の回復手段や強力なヒーロー、そして非常に堅固な本拠地の防御力を持ちます。建設可能な範囲が限定されるため、陣地の拡張に制約があります。
• - オーク (Orc): 若き英雄スロールの下に再結集したホード。ユニットは攻撃力と耐久性に優れ、地上戦で強みを発揮します。ヒーローは単体で大きな影響力を持つ特化型が多いです。内政は比較的シンプルですが、防衛力は高くないため攻められると脆さがあります。
• - ナイトエルフ (Night Elf): 世界樹の麓に暮らす自然と共存するエルフ。ユニットは高い攻撃力を持つ反面、耐久性が低い傾向があり、豊富な操作量が求められるテクニカルな種族です。建造物の一部が移動可能であったり、木材を永続的に採取できる労働ユニットなど、独自のシステムを持ちます。

各族には個性的なヒーローやユニットが存在し、それぞれ異なる戦術やプレイスタイルが要求されます。

登場キャラクターと用語

ゲームの世界観を彩る多くのキャラクターが登場します。ヒューマン側では英雄アンドゥイン・ローサーや堕落する王子アーサス、女魔術師ジェイナ・プラウドムーア。オーク側では新生ホードを率いるスロール、血の呪縛を打ち破ったグローマッシュ・ヘルスクリーム。アンデッド側ではリッチキング・ネルズールやデスナイトとなったアーサス、バンシーの女王シルバナス・ウィンドランナー。ナイトエルフ側ではドルイドの長フュリオン・ストームレイジや巫女長ティランダ、そして追放されたイリダン・ストームレイジなどが物語に深く関わります。

主要な地名としては、東方大陸のアゼロス、ローデロン、カズ・モダン、魔術都市ダララン、西方大陸のカリムドー、そして凍土のノースレンドなどがあります。重要なアイテムや場所としては、リッチキングの魔剣フロストモーン、魔力の源である永遠の泉や太陽の井戸、そしてナイトエルフの故郷である世界樹ノルドラシルなどが挙げられます。

関連作品

『ウォークラフト』の世界観はMMORPG『World of Warcraft』をはじめ、デジタルカードゲーム『ハースストーン』、MOBA『Heroes of the Storm』といった多くの関連作品に引き継がれています。また、2016年には実写映画『ウォークラフト』も公開されました。

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