ウミネコ

ウミネコ（海猫）について

ウミネコ（Larus crassirostris）は、チドリ目カモメ科に属する鳥です。主にロシア南東部、中国東部、台湾、日本、朝鮮半島を分布域とし、冬季には中華人民共和国の東部に南下して越冬します。日本国内では特に留鳥として知られており、繁殖のために北海道や本州北部で出現しますが、一部は冬に南下する傾向があります。

形態的特徴

ウミネコは全長44から48センチメートルで、翼を広げると120から128センチメートルになります。体重はおおよそ0.5から0.6キログラムです。羽毛は頭部や体の下側が白く、上面は黒灰色をしています。また、尾羽も白ですが、内側の尾羽先端に黒い斑点があります。この特徴が英名の由来である「black-tailed（黒い尾を持つ）」に関係しています。

嘴は非常に太くて頑丈で、黄色がかった色をしており先端が赤く、その内側には黒い斑紋があります。後肢の色は黄色です。幼鳥の場合は全身が黒褐色の羽毛に覆われており、特に肩羽と翼外縁が淡褐色です。季節によって羽の色合いは変化し、夏は後頭が白、冬になると灰褐色の斑紋が現れます。

生息環境と生態

ウミネコは主に沿岸部、河口、干潟で見られますが、近年は東北地方の内陸部での目撃例も増加中です。これは減農薬の水田が増加した影響と考えられています。和名は鳴き声が猫に似ていることから付けられました。食性は雑食性で、魚、両生類、甲殻類、昆虫、さらには動物の死骸まで摂取します。他の鳥が捕まえた食べ物を奪うこともあります。

繁殖行動

繁殖は卵生で、ウミネコは集団繁殖地を形成します。岩礁や草原に巣を作り、4月から5月にかけて2から3個の卵を産みます。繁殖地として特に知られているのが三陸海岸の蕪島、経島、椿島、陸前江ノ島、飛島などで、これらは国の天然記念物に指定されています。東京都台東区上野のビルの屋上では、複数のつがいの営巣が確認されたこともあります。

抱卵は雌雄が交代で行い、約24から25日間で孵化します。雛は孵化後40日ほどで巣立ち、性成熟には通常3年ほどかかります。

人間との関係

日本では特に繁殖地がいくつかの地域で天然記念物に指定されており、東京湾沿いでも多くのウミネコが観察されています。屋上緑化の影響で、都心での営巣例が増え、都庁は生態保護のための管理計画を改定し、繁殖期に限り特定の許可の下で卵や雛の捕獲を許可しています。

また、ウミネコが魚を運ぶ際に吐き出す習性があり、道路に小魚が散乱していることが多々あります。この現象は、海辺に住む人々には日常的な光景ですが、初めて見る人には驚きを持たれることがしばしばあります。

以上のように、ウミネコは日本の環境において重要な役割を果たしており、その生態や繁殖行動は興味深いものです。今後もその動向を注視していく必要があります。

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