ウリミバエ

ウリミバエ（瓜実蠅）

ウリミバエ（学名: Bactrocera cucurbitae）は、双翅目ミバエ科に分類されるハエの一種で、元々は東南アジアが原産地とされています。その後、アフリカの一部やインド、オーストラリア、ミクロネシア、さらにはハワイにも分布を広げています。特に、日本では南西諸島に外来種として侵入し、重要な農業害虫となってしまいましたが、現在では不妊虫放飼法を用いて根絶に成功した数少ない例として知られています。

特徴と生態

ウリミバエは体長が7〜8mm程度の小型のハエで、孵化からわずか20〜30日で成虫になります。成虫になると約10日ほどで交尾を行い、メスは腹部にある産卵管を使って果実に卵を産み付けます。1匹のメスが生涯で産む卵の数は1,000個以上とも言われ、ウリ類であるスイカやキュウリはもちろん、ゴーヤー、トマト、ピーマン、パパイヤなど非常に幅広い植物に被害を及ぼします。特に沖縄ではオキナワスズメウリが主要な宿主植物となっています。

日本への侵入と問題

ウリミバエは1919年に初めて八重山列島で確認され、その後すぐに宮古列島や沖縄本島、与論島などへと広がっていきました。このハエは農作物に深刻な影響を与えることから、日本生態学会によって「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されました。農作物に及ぼす影響を軽減するため、植物防疫法に基づき、発生地から植物の移動が厳格に規制されています。

対策として採用されたのが不妊虫放飼法です。これは、特定の飼育個体にガンマ線を照射し不妊化してから、矯飾した個体を大量に自然界に放つことで、野生個体との交尾を阻止し、最終的には根絶を目指す手法です。この手法は、1963年にマリアナ諸島で初めて成功し、繁殖力の高いウリミバエに特に効果があります。

根絶のプロセス

久米島では、初めて不妊虫が放飼された後、1987年には宮古群島で根絶が確認され、さらに沖縄全域でも1990年までに根絶が成功しました。その過程で、沖縄では合計625億匹もの不妊虫を放飼し、支出は204億円にも及びました。この成功により、ゴーヤーなどの農作物の本土への出荷が可能になり、1993年には沖縄県ウリミバエ根絶宣言も発表されました。

再侵入の懸念

しかし、1993年以来の静寂も、2020年代に入って異種のウリミバエの侵入が認められることで終わりを告げました。2024年には名護市でセグロウリミバエが確認され、その後も沖縄本島や奄美群島での生息が確認され、農作物への影響が再び懸念される状況となっています。このため、沖縄県では農作物の持ち出しが制限され、セグロウリミバエの防除策も早急に実施されています。

結論

ウリミバエはその繁殖力と広範囲な被害を引き起こす特性から、農業に大きな影響を与える害虫です。日本では、不妊虫放飼法により根絶に成功した例があるものの、再侵入のリスクが高まっており、今後も監視と防除が必要な存在です。

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