エクソシスト

エクソシスト（Exorcist）

エクソシストとは、キリスト教、とりわけカトリック教会において、悪霊を追い出すための儀式であるエクソシスムを執り行う専門家を指します。エクソシスムは、「誓い」や「厳命」を意味するギリシャ語に由来し、悪魔に取り憑かれた人々を正常な状態に戻すことを目的としています。この役割はカトリック教会の中で非常に重要な位置を占めており、特に悪霊を拒否する誓約は、洗礼式の際に行われています。

歴史的背景

エクソシストという名称は、カトリック教会の下級叙階の一つとして存在しており、過去には「祓魔師」と訳されていました。この用語は、カトリック教会においてはトリエント公会議によって定義された三つの下級叙階の一つであり、「守門」に次ぐ位階とされていました。祓魔師は、悪霊の追放の儀式を洗礼時に行う職務に限定されていましたが、時が経つにつれてその権限は拡大していきました。

たとえば、エクソシストになると特別な衣装であるスルプリ（白い上衣）を着ることが許されました。また、エクソシスムは秘蹟とは見なされてはいませんが、特別な権能が不可欠であると考えられていました。約250年ごろの教皇コルネリウスの報告によれば、ローマには46人の司祭、7人の助祭、7人の副助祭、42人の侍祭、そして56人のエクソシストが存在したという記録があります。

エクソシストの役割

エクソシストは、その役割において改宗の補助を担っていました。多神教のローマの信仰体系から、一神教であるキリスト教への移行は簡単ではなく、この宗旨替えは個人の信じる価値体系を根本から変えることを求めました。こうした過程において、信者はしばしば重大な精神的危機に直面し、一部は憑依と呼ばれる狂乱状態に至ることもありました。エクソシストは、このような精神的な不安を取り除く任務を負っていたのです。

マイケル・W・クネオの『アメリカの悪魔払い』などの研究によれば、エクソシストの存在は、キリスト教がローマ人の間に徐々に広がっていることを示す重要な指標であったとされています。

現代におけるエクソシスト

20世紀半ばまでエクソシストの役割は次第に形骸化していきましたが、第二バチカン公会議以降、教会制度の見直しに伴い「祓魔師」としての位階は廃止されました。現在では、「教会奉仕者」がその機能を引き継いでいると考えられていますが、教会法上は叙階と位階の記述は「司教、司祭、助祭」とされるのみです。

1973年に公開された映画『エクソシスト』が起爆剤となり、社会では悪魔憑きや悪魔祓いに対する関心が再燃しました。それ以降、世界中で悪魔祓いを求める声が高まることとなりました。

例えば、カトリック教会の公式な儀式やプロテスタントにおける悪霊追い出しについては、別の文献参照を要します。

参考文献

• - 『新カトリック大事典』
• - 『現代カトリック事典』
• - 『エクソシスト』ウィリアム・ピーター・ブラッティ著
• - 『アメリカの悪魔払い』マイケル・W・クネオ著
• - 『エクソシストは語る』ガブリエーレ・アモルス著
• - 日本カトリック司教協議会『カトリック教会のカテキズム要約』など

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