エルモ社

株式会社エルモ社

株式会社エルモ社は、かつて光学機器、電気機器、精密機器の製造および販売を主業務としていた企業です。1988年より発売を開始した書画カメラは世界でトップシェアを誇り、教育現場やプレゼンテーションの場で広く利用されました。本社は愛知県名古屋市瑞穂区にありましたが、2021年に親会社であるテクノホライゾンに吸収合併されました。しかし、「エルモ」の名称は、テクノホライゾン社内のカンパニーである「エルモカンパニー」およびブランド名として現在も受け継がれています。

概要

社名の由来は、映写機メーカーとしての専門性を表すため、「電気（Electricity）」「光（Light）」「機械（Machine）」「組織（Organization）」の頭文字を組み合わせたものです。この名称からも、同社の技術に対する強いこだわりが伺えます。

エルモ社は、かつて8mmフィルムカメラや120フィルムを使用した6×6cm判のエルモフレックスなど、それぞれの分野で代表的な製品を製造・販売していました。スライド映写機やOHPも主力製品でしたが、1990年代後半以降、これらの機器が教育やプレゼンテーションの場で使われなくなったため、同社の主力製品ではなくなりました。8mmカメラの修理サポートは2008年8月に終了し、16mmカメラやOHPの修理・部品供給も2012年8月末で打ち切られました。

2010年4月には、親会社の株式会社タイテックと共同で持株会社「テクノホライゾン・ホールディングス株式会社」を設立し、その後は監視カメラや資料提示用プロジェクターなどの製造販売に注力しました。特に書画カメラは、世界で40%、日本では60%という高いシェアを誇り、アメリカでは書画カメラそのものが「エルモ」と呼ばれるほど、広く認知されています。

沿革

エルモ社の歴史は、1921年（大正10年）4月10日に名古屋市で創業した榊商會に遡ります。その後、1933年（昭和8年）5月8日に合名會社エルモ社が設立され、1949年（昭和24年）9月16日に株式会社エルモ社となりました。1950年（昭和25年）2月には、株式会社エルモ社と合名會社エルモ社が合併し、現在のエルモ社の基礎が築かれました。

2001年（平成13年）には、ISO 14001認証とISO 9001認証を取得し、環境への配慮と品質管理に対する意識の高さを示しました。2002年（平成14年）5月には、株式会社タイテックの関連会社となり、以前の松坂屋の関連企業から変化しました。2003年（平成15年）1月には、株式会社タイテックの子会社となりました。2005年（平成17年）には、愛知ブランド企業に認定され、地域社会への貢献も評価されました。

2007年（平成19年）2月14日には、ジャスダックに株式上場を果たしましたが、2010年（平成22年）3月29日に上場廃止となりました。2008年（平成20年）2月20日には、三洋電機販売株式会社からサンヨーオーエーグループ11社の株式を取得し、うち6社を連結子会社化するなど、事業規模を拡大しました。2009年（平成21年）には、チノンテック株式会社から事業を譲り受け、株式会社SUWAオプトロニクスを設立しました。

2010年（平成22年）1月4日には、新設分割によりエルモソリューション販売株式会社を設立し、同年4月1日には、親会社であるタイテックと共同で持株会社「テクノホライゾン・ホールディングス株式会社」を設立しました。2011年（平成23年）6月30日には、子会社の株式会社SUWAオプトロニクスがテクノホライゾン・ホールディングス株式会社の直接の子会社となりました。2012年（平成24年）には、子会社のエルモソリューション販売株式会社を吸収合併し、社内カンパニーのエルモソリューションカンパニーを設立しました。

その後も、事業再編を積極的に行い、2015年（平成27年）には子会社の一部株式を譲渡したり、子会社を吸収合併するなど、経営体制を変化させました。2016年（平成28年）には、株式会社ファインフィットデザインを吸収合併し、株式会社中日電子の情報事業の一部を譲り受けました。2018年（平成30年）には、車載機器および決済端末事業を株式会社中日諏訪オプト電子に譲渡し、株式会社ケイグランデを子会社化しました。

そして、2021年（令和3年）4月1日に親会社であるテクノホライゾン株式会社に吸収合併され、株式会社エルモ社としての歴史に幕を閉じました。しかし、榊商會時代から通算して100周年を迎えるこの年、エルモのブランドは新たな形で継承されることとなりました。

事業所

エルモ社の事業所は、本社・中部営業部（名古屋市瑞穂区）をはじめ、エルモソリューションカンパニー本部、近畿･四国営業部、近畿ソリューション営業部（大阪市西区）、北海道営業部（札幌市北区）、東北営業部（仙台市青葉区）、首都圏営業部、セキュリティ営業部（東京都港区）、中国営業部（広島市中区）、九州営業部（福岡市博多区）など、全国に展開していました。

備考

監視カメラで使われるCマウントレンズは、かつてエルモ社が製造していた8mmカメラでも使われていました。これは、同社の光学技術が長年にわたって培われてきたことを示す一例です。

脚注

テクノホライゾン株式会社エルモカンパニー

もう一度検索