オニカマス

オニカマス

オニカマス（学名：Sphyraena barracuda）は、カマス科に属し、一般的にはバラクーダと呼ばれています。特に沖縄では「チチルカマサー」や「ジキランカマサー」という地域名でも知られています。この魚は大変目を引く特徴を持ち、熱帯の海域に生息することで人々の関心を集めています。

分布

オニカマスは中部・西部太平洋、インド洋、大西洋の熱帯水域に広く分布しています。日本国内では南日本、沖縄、小笠原諸島に見られ、その存在は海の生態系の一部として重要です。

形態

オニカマスは、全長最大で200cmに達することがあり、これはカマス科の中でも特に大きいとされています。体型は太短く、背中側には多くの横帯が見られるのが特徴です。幼魚の段階では体側と背中に斑紋がありますが、成長するにつれてこれらは薄れていきます。特に注目すべきは、その大きな口と鋭い歯であり、捕食者としての姿が強調されます。

また、尾鰭の後縁には特有の葉状部が発達し、しなやかな泳ぎを可能にしています。背鰭は第1背鰭に5棘条を持ち、第2背鰭には1棘条と9軟条、胴体の下の尻鰭には2棘条と7〜8軟条があります。側線鱗の数は75枚から87枚に及び、その細部までがオニカマスの観察において重要な指標となります。

生態

オニカマスは、主に沿岸から少し離れたサンゴ礁の浅い場所に生息し、小型の魚類や甲殻類を捕食します。通常は単独で泳ぐ姿が観察されますが、時には群れを成すこともあります。また、驚くべきことに、遊泳速度は最高で時速58kmに達することがあります。

この魚は海水魚ではありますが、幼魚は汽水域にも入ることがあります。特に与論島の汽水域で採集されたことや、西表島の浦内川のマングローブ域での観察では、岸部に多く見られることが確認されています。

気性は激しく、時には人間を襲うこともあるため注意が必要です。実際に海外ではオニカマスによる負傷事故も報告されています。

人との関わり

以前はオニカマスも他のカマス類と同様に食用にされていましたが、現在ではシガテラという食中毒の原因となるため流通が抑えられています。日本では食品衛生法に基づき販売が禁止されており、注意が必要です。しかし、ハワイやマリアナ諸島ではトローリングの対象魚として人気があります。

また、オニカマスは水族館で観賞魚として飼育されることもあり、その大きさと美しい外見から多くの来館者に愛されています。

• ---

オニカマスの特徴的な生態と独自の習性を理解することで、海洋生態系への理解が深まります。特にその存在は、自然が持つ多様性に対する重要なリマインダーとなるでしょう。

もう一度検索