シガテラ

シガテラとは

シガテラ（ciguatera）は、熱帯の海で生息しているプランクトンが生成した毒素に汚染された魚介類を食べることによって発生する食中毒です。主に有毒な渦鞭毛藻、特にGambierdiscus toxicusがその原因とされています。サンゴ礁周辺で捕獲された魚は特に危険とされており、この地域でのシガテラ中毒のリスクが高まります。シガテラという用語自体は、スペイン人がキューバの地方で特定の巻貝を指して用いた「シガ」という名前から派生しています。

シガテラ毒素

シガテラ中毒の原因物質は「シガテラ毒」と呼ばれ、多くの神経毒が含まれています。主に知られているものには、シガトキシンやスカリトキシン、マイトトキシン、シガテリンなどがあり、それらはナトリウムチャンネルに作用して神経伝達に異常を引き起こします。特にシガトキシンは熱に強く、調理によって毒性が消失することはありません。また、これらの毒素は魚の味にも影響を与えず、スープやスチームでの調理でも流出することがあります。

人間がシガトキシンを経口摂取することで、試算では約70 ngの量が中毒を引き起こすことが知られています。

中毒症状

シガテラ中毒の症状は、多様であり、通常1時間から8時間後に顕在化しますが、中には2日以上経過してから現れる場合もあります。消化器系の症状としては、吐き気、下痢、腹痛が数日から数週間続くことがあります。一方、神経系の兆候としては、不整脈や血圧低下、徐脈、めまい、頭痛、筋肉の痛み、さらには「ドライアイス・センセーション」と呼ばれる、極端な冷感を伴う温度感覚異常が見られることもあります。中毒に伴う循環器系の影響としては、血圧や心拍数に異常が発生することもあります。

効果的な治療法はまだ確立されておらず、後遺症には個体差があり、1週間で回復する場合もあれば、重症の場合には数ヶ月から数年かかることもあります。日本国内では死亡例は報告されていないものの、海外では一部の事例が存在します。

発生状況

沖縄県では、1997年から2006年の間に33件、103名がシガテラ中毒にかかったとの報告があります。2008年から2019年の12年間における日本国内での発症者数は167人とされますが、多くの症例が未報告であると考えられています。

魚類と保有生物

シガテラ毒を有する魚類には、バラフエダイ、バラハタ、ウツボ、カマス、そしてブリなど、400種類以上に及びます。特に食物連鎖上位に位置する肉食魚が危険であり、これらの魚はシガテラ毒を蓄積する可能性があります。従って、特定の地域や個体によってその毒の有無は異なります。

食用制限

日本では、オニカマスが有毒魚として食用禁止となっており、またその他の魚種についても都道府県により指導が行われています。

結論

シガテラ中毒は熱帯地域で多く見られ、特に日本では沖縄が危険ですが、最近は本州にも報告例が増えています。温暖化の影響で有毒プランクトンの生息域が広がっていることが主な要因とされています。このため、消費する魚の出所については注意が必要です。

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