オモダカ

オモダカ（沢瀉・澤瀉・面高）について

オモダカ（学名: Sagittaria trifolia L.）は、オモダカ科オモダカ属に分類される水生植物です。ハナグワイ、サンカクグサ、イモグサ、オトゲナシなど、多くの別名を持ちます。その語源は定かではありませんが、人の顔に似た葉が上向きに伸びる様子から「面高」と名付けられたという説や、中国語で湿地を意味する「涵澤（オムダク）」に由来するという説があります。

分布

オモダカは、アジアから東ヨーロッパにかけての温帯域から熱帯域に広く分布しており、日本でも全国各地で見ることができます。水田や湿地、ため池などの水辺に自生しています。

生態

春になると、オモダカは種子と塊茎から発芽します。発芽初期は線形の葉をつけますが、成長するにつれて特徴的な矢尻形の葉を出すようになります。葉の大きさは最大で60cmほどに達することもありますが、その形状には個体差が見られます。

花は単性花で、雌雄同株です。白い花弁を3枚つけます。種子は楕円形で翼を持っており、風に乗って散布されます。また、地下茎の先に塊茎を形成し、この塊茎によっても繁殖します。染色体数は2n=22です。

類似種との区別

オモダカは、同じオモダカ属のアギナシとよく似ています。しかし、アギナシは根元に多数の粒状の球芽（むかご）を形成するのに対し、オモダカは走出枝を出し、球芽をつけない点で区別できます。また、アギナシの花は葉よりも高い位置につく傾向があり、オモダカの矢尻形の葉の先が尖るのに対し、アギナシは丸みを帯びる傾向がありますが、これらの特徴は変異が大きいため、確実な識別点とは言い切れません。アギナシはヘラ状の葉をつけることもありますが、オモダカにも同様の葉が見られるため、葉の形状だけでは区別が難しいです。

人間との関わり

オモダカは古くから日本人に親しまれてきた植物で、平安時代には蒔絵の文様にも用いられました。源平の武士たちの武具や衣服にもその意匠が見られます。

観賞用として栽培されることもありますが、通常はあまり利用されることはありません。繁殖力が強く、種子や塊茎で増えるため、水田では難防除性の雑草として扱われることもあります。しかし、オモダカの栽培変種であるクワイは、塊茎が肥大化して食用とされ、おせち料理などに使われています。クワイは、その形状から「芽が出る」ことを連想させる縁起物とされています。

また、オモダカの葉や花を図案化した沢瀉紋（おもだかもん）という家紋があります。かつては慶事用の切手にもオモダカの文様が描かれていました。

参考画像

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脚注

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外部リンク

オモダカとは｜育て方がわかる植物図鑑 - みんなの趣味の園芸（NHK出版）

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