オリオン電機

オリオン電機株式会社の歴史と変遷

オリオン電機株式会社は、かつて存在した日本の電機メーカーです。その歴史は、1958年に設立された大竹貿易とオリオン電機に遡ります。本稿では、2015年にFKサービス株式会社へ商号変更された初代法人と、2019年におおぞら管理株式会社へ商号変更された2代目法人をまとめて解説します。

事業概要

オリオン電機は、テレビ、ビデオデッキ、DVDプレーヤーなどの複合製品を得意とし、国内外のメーカーへのOEM供給に力を入れていました。特に、日本国内の大手メーカーへのOEM製品は多数に上りました。また、小型の地上デジタルテレビ放送対応テレビでは、4:3画面を維持した安価なモデルやDVDプレーヤー内蔵モデル、さらにはインテルAtomプロセッサとWindows Embeddedを搭載したインターネットテレビ「ROBRO」なども製造していました。

国内大手メーカーが液晶テレビの生産から撤退または縮小する中、オリオン電機は自社ブランドでの製造を継続していました。2012年には、液晶テレビの国内販売台数でソニーを抜いて5位となるなど、国内市場でのプレゼンスを高めていました。ただし、液晶テレビの寿命が短いという意見もありましたが、統計的な根拠はありませんでした。

経営悪化と事業譲渡

中国企業の台頭による価格競争や、北米を中心とした海外事業の不振により、2014年3月期の売上高は約250億円まで落ち込みました。そのため、オリオン電機は2015年3月31日にビーエーシー北陸株式会社へ全事業を譲渡しました。ビーエーシー北陸は翌4月1日にオリオン電機株式会社（新社）へ商号変更しました。

一方、オリオン電機（旧社）は、2015年3月31日にFKサービス株式会社へ商号変更し、清算業務を行っていましたが、2019年1月24日に福井地方裁判所から破産手続開始決定を受けました。

オリオン電機（新社）も、完成品の受注低迷、設備投資の増加、販売代理店との契約解消などにより業績が悪化。2018年3月期には約13億1900万円の純損失を計上し、債務超過に転落しました。自動車向け電子基板部品製造事業は株式会社エヌビーシー福井EMSへ、ORIONブランド並びにプロフェッショナルサービス事業は株式会社ドウシシャが設立したオリオン株式会社へそれぞれ譲渡されました。その後、オリオン電機（新社）は清算業務を行い、2019年3月20日におおぞら管理株式会社へ商号変更し、同年5月20日に福井地方裁判所から特別清算開始決定を受けました。

負債とブランドの継承

負債総額は、FKサービス（初代法人）が215億8983万円、おおぞら管理（2代目法人）が100億2900万円に上りました。

オリオン電機の事業停止後、ORIONブランド製品のアフターサービスは、AV機器がドウシシャ、スピーカーシステム並びにLEDシーリングライトはオリオンがそれぞれ行うことになりました。FKサービスと、おおぞら管理は、それぞれ2020年に法人格が消滅しました。

初代：オリオン電機株式会社の沿革

1958年：神戸市に大竹貿易設立、大阪市にオリオン電機設立
1967年：福井県武生市（現 越前市）にオリオン電機（福井）設立
1970年：石川県加賀市にオリオン電機（加賀）設立
1971年：オリオンエレクトリック・カンパニーリミテッド設立
1984年：オリオンエレクトリック・カンパニーリミテッドがオリオン電機（福井）を吸収合併、商号をオリオン電機とする
1986年：イギリスのウェールズにORION ELECTRIC(U.K.)LTD.設立
1987年：アメリカ合衆国のインディアナ州に ORION AMERICA,INC.設立
1988年：タイ王国のチョンブリ県に WORLD ELECTRIC(THAILAND)LTD.設立
1995年：タイ王国のナコンラチャシマ県に KORAT DENKI LTD.設立
1998年：オリオン電機が大竹貿易を吸収合併
2001年：タイとアメリカに工場を新設
2007年：タイの両拠点でEMS事業を開始
2009年：ドウシシャと共同開発したROBRO-TVを発売
2013年：オリオン電機にてEMS事業開始
2015年3月31日：ビーエーシー北陸へ全事業を譲渡、オリオン電機（旧社）はFKサービスへ商号変更
2018年10月24日：債権者より破産を申し立てられる
2019年1月24日：FKサービスが破産手続開始決定
2020年5月19日：FKサービスの法人格消滅

2代：オリオン電機株式会社の沿革

2014年：ブレイン・アンド・キャピタル・ホールディングスがビーエーシー北陸を設立
2015年3月31日：ビーエーシー北陸がオリオン電機（旧社）の事業を譲受
2015年4月1日：ビーエーシー北陸の商号をオリオン電機（新社）へ変更
2018年11月30日：自動車向け電子基板部品製造事業を株式会社エヌビーシー福井EMSに譲渡
2019年1月8日：プロフェッショナルサービス事業をオリオン株式会社に譲渡、同時に事業停止
2019年3月20日：オリオン電機（新社）の商号をおおぞら管理株式会社へ変更、株主総会で解散決議
2019年5月20日：おおぞら管理が特別清算開始決定
2020年10月15日：おおぞら管理の法人格消滅

関連企業

ドウシシャ：オリオン製品の販売委託元であり、清算以降はORIONブランドの商標権を保有しています。
オリオン（電機メーカー）：オリオン電機の連結子会社であり、清算以降の製造拠点引き継ぎ先です。ORIONブランドのほか、SANSUIブランド製品の製造も行っています。

その他の情報

オリオン電機は、ジェネリック家電としても知られ、高品質ながら低価格な製品を提供していました。テレビ、ビデオ、DVDレコーダー、液晶テレビなど幅広い製品を扱っていました。

外部リンク

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「第1回ジェネリック家電製品大賞2013」

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