カエンタケ

カエンタケ（火焰茸）

カエンタケ（学名: Trichoderma cornu-damae）は、ボタンタケ目に属する毒キノコで、非常に強い毒性を持つことで知られています。その外観は燃え盛る炎を思わせる形と色をしており、見た目には美しいものの、極めて危険な存在です。

形態

カエンタケの子実体は、傘や柄のない独特の形態を持ち、赤色の円柱状で先端は丸く、または若干尖っています。一般的には、単生か基部から数本に分岐し、まるで手の指のような形状や厚みのあるトサカのように成長します。基部の直径は約10 - 15 mmで、全体の高さは3 - 13 cmほどです。

その表面は肉眼的に平滑で、鮮やかな赤色（オレンジ色を帯びた赤）をしており、後に退色して黒ずんだ赤紫色になることがあります。基部は淡黄色か、上部と同じ色を呈します。内部組織は白色でしっかりと詰まっており、風に触れても変質しません。このような特徴から、カエンタケは他のキノコとの明確な区別がしやすいです。

生態

カエンタケは腐生菌であり、初夏から秋の期間にかけて主に広葉樹の立ち枯れ木や倒木の周辺に生えています。特にミズナラやコナラの弱った木の周囲で見かけることが多く、これらの木がカシノナガキクイムシによって侵されたことが一因と考えられています。土中に埋もれた根元や倒木からも発生しやすく、都市の公園や学校の庭でも見られることがあります。

分布

このキノコは、日本や中国、ジャワ島、さらに東南アジアなどに分布しています。また、2019年にはオーストラリアでも確認され、暖かい地域での発見が増えてきました。特にナラ枯れが進行している地域では多くのカエンタケが報告されています。

毒性

カエンタケは、その毒性の強さから触れるだけで有害です。致死量はわずか3gとされ、誤って食べてしまった場合、消化器系や神経系に様々な症状を引き起こすことがあります。吐き気、腹痛、水様性下痢、さらには多臓器不全に至ることもあります。日本では既に中毒症例が報告されており、その深刻さは広く知られるようになっています。また、触れた場合の皮膚刺激性もあり、接触した際にはただれやかゆみが生じることがあります。

構成成分

カエンタケの毒成分には、マイコトリコテセン類が含まれており、これらはいくつかの有害な作用を持つため、手に取るだけでも危険です。特に皮膚炎を引き起こす可能性が高いことから注意が必要です。

結論

カエンタケは見た目が美しいものの、その危険性は計り知れません。すべての毒キノコと同様に、安易に触れたり食べたりしないことが肝要です。自然界においては自身を守るために正しい知識を持ち、適切な判断を下すことが求められます。

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