カオール

カオール：歴史とワインが織りなすフランス南部の魅力的な都市

カオールは、フランス南部、オクシタニー地域圏に位置するロット県の県庁所在地です。ロット川が市内を流れ、その美しい景観は訪れる人々を魅了します。古代ケルト時代からの長い歴史を持ち、中世の面影を色濃く残す街並みは、多くの観光客を惹きつけています。

歴史

カオールの歴史は古く、ケルト時代にまで遡ります。中世には金融業で栄えましたが、百年戦争やユグノー戦争などの戦乱に見舞われ、経済的に衰退しました。18世紀には大学も失いましたが、近年はその歴史的な街並みが見直され、人気の観光地として再び注目を集めています。

中世のカオールは、金融業、特に高利貸しで悪名高い都市でした。当時のカトリック教会は利息を取ることを罪と見なしており、カオールは「高利貸しの街」として、ダンテの『神曲』にも言及されるほどでした。

1249年には、カオールでローマ教皇ヨハネス22世が誕生しています。

世界遺産

カオールには、世界遺産「フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の一部として登録されているサン＝テチエンヌ大聖堂とヴァラントレ橋があります。

ヴァラントレ橋: 1308年に建設が開始され、1378年に完成したカオールのシンボル。ロット川に架かる美しい橋で、中世の面影を今に伝えています。
サン・テティエンヌ大聖堂: ロマネスク様式とゴシック様式が融合した美しい大聖堂。その壮麗な建築は、訪れる人々を魅了します。

ワイン

カオールは、独特な赤ワインの産地として世界的に知られています。AOCカオールは、マルベック種を70%以上使用することが義務付けられており、「カオールの黒」と呼ばれるほど濃い色合いと、豊富なタンニンが特徴です。長熟タイプのワインとして、世界中のワイン愛好家から愛されています。

ゆかりの人物

カオールは、多くの著名人を輩出しています。

クレマン・マロ: ルネサンス期の詩人。カオールで生まれました。
ジョアシャン・ミュラ: ナポレオン・ボナパルトの腹心であり、ナポリ王国の国王。カオール近郊で生まれました。
ジャン＝バティスト・ベシェール: フランス革命戦争・ナポレオン戦争期の軍人。帝国元帥。ジョアシャン・ミュラの親友でした。
レオン・ガンベタ: 第三共和政の生みの親として知られる政治家。カオールの出身高校は、彼の功績を称え、リセ・ガンベタと改称されました。
* マルセル・マルソー: パントマイムアーティスト。2007年にカオールの自宅で亡くなりました。

カオールは、豊かな歴史と文化、そして美味しいワインが楽しめる魅力的な都市です。フランスを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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