カネテツデリカフーズ

カネテツデリカフーズ株式会社：伝統と革新が織りなす魚肉練り製品の老舗

カネテツデリカフーズ株式会社は、兵庫県神戸市に本社を構え、かまぼこやちくわといった魚肉練り製品の製造・販売を手掛ける、日本を代表する食品メーカーです。創業は1926年（大正15年）に遡り、創業者である村上鐵雄氏が西宮市で練り製品の製造を始めたのがそのルーツです。

創業から戦後の再建、そして全国展開へ

第二次世界大戦中には戦時企業統制令により、同業他社との統合を経て神戸かまぼこ株式会社に改名。戦後、再びかねてつ蒲鉾株式会社として再スタートを切りました。社名の「かねてつ」は、創業者の名前の一部「てつ」と妻の名前「かなめ」から取られており、親しみやすい響きが特徴です。

1951年にはマスコットキャラクター「てっちゃん」が登場し、CMソング「てっちゃんの歌」と共に、中京・西日本を中心に広く知られるようになりました。しかし、東日本では競合他社が多数存在し、知名度ではやや後塵を拝していた時期もありました。

1980年代初頭、同社は関東地方への本格的な営業展開を開始。アニメ『忍者ハットリくん』のスポンサーとなり、劇中に登場するキャラクターの好物として自社のちくわを設定するなど、ユニークな広告戦略を展開しました。また、1982年からは雑誌『宝島』で連載された新聞記事風の広告「啓蒙かまぼこ新聞」が大きな話題を呼び、全国的な知名度向上に大きく貢献しました。この広告は、コピーライターの中島らも氏が手掛け、その独特な視点とユーモアが多くの読者を惹きつけました。

阪神・淡路大震災からの再建、そして新たな挑戦

1990年には全製品から保存料を排除し、より安心安全な商品づくりを目指しました。しかし、1995年の阪神・淡路大震災では、工場が被災し、製品の出荷停止を余儀なくされるという苦難に見舞われました。取引先を競合に奪われ、巨額の負債を抱える中、同社は伊藤ハムとの業務提携など、社外からの支援を受けながら自主再建の道を選択しました。

再建途上には、社員による不祥事も発覚しましたが、当時の社長であった村上健氏が稲盛和夫氏の経営思想に触れたことをきっかけに、社内体制を強化。コンプライアンスを徹底し、業績と評判を回復させました。

近年では、「ほぼシリーズ」が売上の主力となっており、特に「ほぼカニ」は、2022年には日本国内で発売された練り製品の中でトップの売上を記録しました。これは、同社の革新的な商品開発力を示す象徴的な出来事といえるでしょう。

カネテツのこだわりと挑戦

カネテツデリカフーズは、「おいしさ、ココロとカラダに。」をブランドステートメントに掲げ、伝統の製法を守りながらも、常に新しい美味しさを追求しています。近年では、健康志向の高まりに応え、油で揚げないノンオイルの練り製品を開発するなど、新たな挑戦も続けています。

また、同社の製品は、テレビ番組『芸能人格付けチェック』でも、偽物として使用されるなど、そのユニークな商品性が広く知られるようになっています。この番組での露出をきっかけに、Webサイトがサーバーダウンするほどの反響があり、売上が大きく伸びたこともありました。

沿革

1926年（大正15年）：村上鐵雄が兵庫県西宮市で魚肉練り製品製造業を創業。
1944年（昭和19年）：戦時企業統制令により神戸かまぼこ株式会社に統合。
1948年（昭和23年）：統制経済解除でかねてつ蒲鉾株式会社設立。
1951年（昭和26年）：マスコットキャラクター「てっちゃん」誕生。
1967年（昭和42年）：かねてつ食品株式会社に社名変更。
1982年（昭和57年）：中島らもが「啓蒙かまぼこ新聞」を連載。
1985年（昭和60年）：カネテツデリカフーズ株式会社に社名変更。
1990年（平成2年）：六甲アイランドに新工場完成、全製品の合成保存料無添加を実施。
1998年（平成10年）：神戸地方裁判所に和議を申請、伊藤ハム株式会社と業務提携。
2014年（平成26年）：株式会社紀文食品と業務提携。

主力商品

蒲鉾
竹輪
揚げ物
ほぼシリーズ

事業所

本社・工場：兵庫県神戸市東灘区
東京営業所：東京都中央区築地
名古屋営業所：愛知県名古屋市熱田区
京都営業所：京都府京都市下京区
広島営業所：広島県広島市西区

歴代社長

村上鐵雄（創業者、初代社長）
村上忠雄（2代目社長）
村上健（3代目社長）
* 村上寛（4代目社長）

広告・提供番組

「てっちゃんの歌」が有名で、長年にわたりテレビCMを展開。朝日放送テレビとの関係が深く、かつては「仁鶴とあそぼう!」や「てっちゃんの天気予報」を提供。アニメ「忍者ハットリくん」では、登場キャラクターの好物として自社のちくわを登場させた。また、年末年始にはおせち料理の需要を目的としたテレビCMを放送している。

まとめ

カネテツデリカフーズは、伝統的な魚肉練り製品の製造を守りながらも、常に新しい挑戦を続ける企業です。独自の製法とユニークな商品開発は、多くの人々に愛され、その歴史は日本の食文化の一翼を担っています。これからも、その革新的な姿勢と「おいしさ」へのこだわりで、食卓に笑顔を届けてくれるでしょう。

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