カリオストロ

アレッサンドロ・ディ・カリオストロ

アレッサンドロ・ディ・カリオストロ（Alessandro di Cagliostro、1743年6月2日 - 1795年8月26日）は、フリーメイソンやオカルティストとして知られ、詐欺師としても名を馳せた人物です。彼の本名はジュゼッペ・バールサモ（Giuseppe Balsamo）であり、出生地はシチリア島のパレルモとされていますが、生年月日や背景には様々な説があります。

人物像

カリオストロは、本業の医師や錬金術師をはじめ、さまざまな肩書きを持つ異色の人物でした。彼は、上流社会に身を置きながらも、低い身分からのし上がろうとしたため「アヴァンチュリエ（山師）」と呼ばれました。彼は、この広範な人脈と詐欺の才能を駆使し、特に富裕層からの搾取に加え、その資金を貧しい人々に分け与えるという、複雑な行動哲学を持っていました。盛り上がる一方で、時には愉快犯の側面も見せることがあり、見た目とは裏腹な人間性が垣間見えます。

生涯の履歴

彼は若い頃、修道院を追放された後、ギリシャの錬金術師アルトタス（Althotas）の弟子となったとされています。ただし、このアルトタスが実在の人物かどうかは定かではありません。カリオストロはその後、ヨーロッパ各地を旅し、数々の偽名を利用しながら社交界に潜入。その中で、胡散臭いビジネスを展開し続けました。1777年にはフリーメイソンに入会し、さらには自らの分派「エジプト・メイソンリー」を創設しました。彼はフリーメイソンのエジプト起源説を主張し、独自の教義を打ち立てました。

しかし、彼の名声は、1785年の「首飾り事件」やロシア宮廷に関わるスキャンダルによって一気に失墜します。1789年には、教皇庁により逮捕され、1791年には終身刑を宣告されました。1795年、彼は獄中で命を落としました。

エジプト・メイソンリーと降霊術

1777年にロンドンでメイソンリーに入会後、彼はフランスのリヨンでエジプト・メイソンリーの支部を設立しました。この団体では降霊術を行っており、特に少年少女を霊媒として使ったことで当時の人々の関心を集めました。カリオストロの降霊術は多くの文人に影響を与え、ゲーテやシラーといった著名な作家たちが彼の行為を作品に取り入れています。

文化における影響

カリオストロはそのユニークな人物像と経歴から、多数のフィクションの題材となりました。オーストリアの作家レオ・ペルッツによる短編『アンチクリストの誕生』や、映画『ルパン三世 カリオストロの城|ルパン三世_カリオストロの城』など、様々な描かれ方をされています。特に『ルパン三世』においては、彼の名を冠した架空のキャラクターが登場し、広く知られる存在となりました。また、横溝正史の短編小説『カリオストロ夫人』も、彼をテーマにしており、その名は作品を超えた影響力を持ち続けています。

まとめ

アレッサンドロ・ディ・カリオストロは、その詐欺師としての活動やフリーメイソンの影響だけでなく、オカルティズムや文化における存在感も相まって、現在でも広く語り継がれています。彼の人生は、単なる詐欺師のそれに留まらず、時代を代表する多面的なキャラクターとなりました。

もう一度検索