カーバイン

カーバイン（Carbine）

カーバインは、ニュージーランドで生まれ、オーストラリアやニュージーランドで活躍した競走馬であり、その名をオセアニア競馬史に刻んでいます。彼は、名馬ファーラップと並び、時代を超えて称えられる存在であり、南半球の競馬における最高の競走馬の一頭とされています。また、種牡馬としても国際的に成功を収め、多くの優秀な後継馬を育てました。

馬名の由来と誕生背景

カーバインという名前は、父馬であるマスケットに由来し、マスケット銃からインスパイアされたものです。その生涯は波乱に満ちており、父マスケットは元々グラスゴー伯爵に所有されていましたが、この伯爵は競走馬の売却を嫌い、牡馬を優遇し、牝馬のほとんどを処分していたとされています。マスケット自身も射殺の危機を逃れ、後にニュージーランドで種牡馬として活躍することとなります。

また、母馬マーシーは競走成績こそ振るいませんでしたが、姉に1000ギニーおよびセントレジャーを制した競走馬がいることから、血統的な背景も注目に値します。カーバインはマーシーとマスケットの交配によって誕生し、その後、調教師D・オブライエンによって620ギニーで落札されました。

競走馬としての活躍

1887年11月、カーバインはニュージーランドのクライストチャーチ競馬場でホープフル・ステークスにデビューし、劣勢から一気に逆転して勝利を収めました。この俊敏な走りは観客の心を掴み、次々とレースで圧倒的な勝利を収めていきました。1888年4月までに5連勝を達成した後、オーストラリアに遠征し、そこでも競走生活が続きました。

オーストラリアでの初戦、ヴィクトリアダービーでは期待を裏切られ、2着に終わりましたが、以降は多くのレースで優勝を重ね、シドニーカップやメルボルンカップなどの重要なレースで数々の栄光を手にしました。特筆すべきは1889年のメルボルンカップで、史上最重量の斤量を背負いながらも圧勝を収め、競馬界に名を刻みました。

競走引退後の人生

引退後は種牡馬としての道を歩むことになり、持ち味であるスタミナとスピードを伝承する馬を多数輩出しました。オーストラリアでは著名な競走馬ウォーレスを生み出し、イギリスではスペアミントや他のクラシック勝ち馬を出すなど、成功を収めました。しかし、イギリスにおける評価は当初ほど高くはなく、リーディングサイアーの地位を獲得することはできませんでした。

最期と遺産

1914年、カーバインは放牧中に脳出血を起こし、そのまま亡くなりました。彼の遺骸はポートランド公爵の指示によって処理され、その骨はメルボルン博物館にて展示され、皮は家具に加工されています。また、注目すべきは彼の蹄がインクスタンドに加工され、現在もニュージーランド政府の首相室で使用されていることです。これらの事実から、カーバインが競馬界に与えた影響とその名声がいかに大きかったかが理解できます。

主な産駒と影響

カーバインの主な産駒には、ウォーレスやスペアミントなどがあり、それぞれが重要な競走馬として活躍しました。特にウォーレスは、オーストラリアのリーディングサイアーを何度も獲得し、多くのクラシック勝ち馬を輩出しました。カーバインの血統は現代においても影響を残していますが、彼の直系は残念ながら絶えてしまいました。しかし、その遺産は今もなお競馬界で評価されており、彼の存在は永遠に記憶されるでしょう。

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