ガス欠

ガス欠とは

ガス欠とは、ガソリンや軽油を燃料とする内燃機関が、走行中に燃料切れを起こしてエンジンが停止する状態を指します。燃料電池車が水素切れを起こした場合も同様に「ガス欠」と表現されます。この言葉は、アメリカでガソリンを「gas」と呼ぶことに由来しています。電気自動車の場合は、蓄電池の電力切れを「電欠」と呼び区別されます。

ガス欠に至る過程

ガス欠の主な原因は以下の通りです。

燃料の消費: 内燃機関によるガソリンの消費が最も一般的な原因です。
燃料の気化: 長期間放置された車両では、ガソリンが気化して燃料が減少することがあります。
燃料漏れ: タンクや燃料経路の劣化、故障により燃料が漏れ出すことがあります。燃料漏れは引火爆発の危険性があるため、普段の燃費と走行距離を照らし合わせて異常を感じた場合は、直ちに車両から離れて、ガソリンの臭いや漏れを確認し、必要に応じて119番通報をしてください。

燃料残量が規定値を下回ると、燃料警告灯が点灯します。電気自動車では、バッテリー残量が低下するとバッテリー残量警告灯が点灯します。これらの警告を見落とすと、走行中にガス欠を起こす可能性があります。

走行中にガス欠が発生すると、エンジンの出力が低下し、回転数が上がらなくなります。最終的にはエンジンが停止し、給油するまで再始動はできません。特に自動車の場合、エンジン停止による急なエンジンブレーキやパワーステアリングの機能停止により、走行制御が困難になる場合があります。

ガス欠時の対処

ガス欠に陥った場合、燃料を補給する必要があります。主な対処法は以下の通りです。

ロードサービス: JAFや保険会社のロードサービスを利用して、燃料を補給してもらう方法があります。
携行缶: ガソリンスタンドまで移動できる程度の燃料を、携行缶に入れて持参する方法があります。ただし、日本ではガソリンの携行には専用の携行缶が必要であり、セルフ式のガソリンスタンドでは、法令により自動車やバイク以外への給油が禁止されている場合がありますので注意が必要です。

ガス欠を起こすと燃料ポンプやインジェクターなどの燃料通路が空になり、給油後もすぐにエンジンが始動しないことがあります。この場合、燃料通路にガソリンが満たされるまで、スターターを長く回す必要があります。電気自動車の電欠の場合、充電スタンドを携行できないため、レッカー移動が必要になります。

ガス欠による影響

ガス欠を繰り返すと、以下のような悪影響があります。

モーターの故障: 通常、燃料に含まれる油分はモーターの潤滑と冷却に利用されています。ガス欠を繰り返すとモーターの潤滑性が失われ、摩擦熱や摩耗による故障の原因になります。
インジェクターの損傷: インジェクター先端のノズルが損傷する可能性があります。
スターターやバッテリーの負担: エンジン始動時にスターターを何度も回すため、スターターやバッテリーへの負担が大きくなります。ディーゼルエンジンでは、燃料ラインに空気が入り、燃料を吸い上げなくなるため、空気抜き作業が必要になることがあります。
蓄電池の劣化: 電気自動車の電欠の場合、蓄電池を空のまま長期間放置すると、蓄電池の劣化が進む可能性があります。

ガス欠の予防・対応

ガス欠を予防するためには、以下の点に注意することが重要です。

こまめな給油: 燃料計を頻繁に確認し、早めに給油を心がけましょう。
燃料計の確認: 燃料警告灯が点灯したら、速やかに給油してください。燃料警告灯が点灯しても、ある程度の距離は走行可能なことが多いですが、過信は禁物です。
燃料計がない車種: 一部の旧車など燃料計がない車種では、燃料コックをリザーブに切り替えることで一時的に走行できます。その間にガソリンスタンドを探して給油しましょう。
高速道路での注意: 高速道路では、ガソリンスタンドの間隔が長い場合や、営業時間外のガソリンスタンドもあるため、事前に確認しておくことが重要です。
経済速度での運転: 無駄な燃料消費を避けるため、経済的な速度での運転を心がけましょう。


これらの予防策を講じることで、ガス欠によるトラブルを未然に防ぐことができます。

参考文献

「JAFのこんなときどうすれば！？」2003年版

関連項目

無鉛ガソリン
* 軽油

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