キヤノン電子

キヤノン電子株式会社：精密機器から宇宙開発へ挑むキヤノングループ企業

キヤノン電子株式会社は、キヤノングループの一員として、埼玉県秩父市に本社を置く企業です。創業から長年、精密機器の開発・製造で培ってきた技術力を基盤に、多様な事業を展開しています。

主要事業：精密機器とITサービスの融合

同社の事業の中核は、ビジネス向けのドキュメントスキャナーや携帯情報端末の開発と生産です。これらの製品は、キヤノンの世界各国にある販売会社を通じて販売されています。さらに、独自のITサービス事業にも注力しており、情報セキュリティ分野における高い専門性を活かしたソリューションを提供しています。CRMシステムや業種に特化したシステムインテグレーション（SI）も手掛けており、顧客ニーズに合わせた幅広いサービスを提供しています。

ユニークな社風と健康経営

キヤノン電子は、そのユニークな社風でも知られています。かつて、酒巻久社長（当時）の発案により、オフィス内の椅子を撤去するという取り組みが行われました。これは、社員間のコミュニケーション活性化を目的としたもので、立ち働くことで社員同士の活発な意見交換が促進され、問題解決のスピードと精度が向上したとされています。

また、工場内には「5m 3.6秒」という歩行速度目標を設け、それを下回ると警報が鳴る「青いゾーン」が存在します。これは、社員の意識改革と業務効率化を促進するための工夫と言えるでしょう。

健康経営にも力を入れており、2021年から2024年度にかけて、経済産業省より健康経営優良法人（ホワイト500）に認定されています。これは、社員の健康増進と働きがいのある職場環境づくりへの取り組みが評価された結果です。

沿革：精密機器から宇宙開発への進化

キヤノン電子株式会社の起源は、1954年設立の株式会社秩父英工舎に遡ります。その後、1964年にキヤノン電子株式会社に商号変更。一眼レフカメラ用レンズ部品からスタートし、ステレオカセットデッキ用磁気ヘッド、フロッピーディスクドライブ、スキャナーカートリッジなど、時代のニーズに対応した製品を次々と開発・生産してきました。

1981年には東京証券取引所第二部に上場、1998年には第一部に指定替えを果たしました。近年では、レーザープリンターやハンディターミナルの生産、プラスチックレンズの製造など、幅広い分野で実績を積んでいます。

さらに、2017年にはインドのPSLVロケットを用いた小型人工衛星の打ち上げに成功。IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行と共同で設立したスペースワン株式会社を通じて、小型ロケットの開発・製造・打ち上げにも積極的に取り組んでいます。

関連会社

キヤノン電子は、数多くの関連会社と連携し、事業の多角化と高度化を推進しています。キヤノンエスキースシステム株式会社、キヤノン電子テクノロジー株式会社など、IT関連企業との連携は、同社のITサービス事業の強化に大きく貢献しています。

まとめ

キヤノン電子株式会社は、精密機器メーカーとしての伝統と、ITサービス事業への積極的な展開、そして宇宙開発事業への挑戦という、未来を見据えた企業です。独自の社風と健康経営への取り組み、そして関連会社との連携を通じて、持続的な成長を目指しています。 今後も、革新的な技術と創造性を活かし、社会に貢献していくことが期待されます。

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