ギュンター・ラル

ギュンター・ラルの生涯

ギュンター・ラル（Günther Rall）は、1918年3月10日にドイツ南部のバーデン＝バーデン近郊のガゲナウで生まれました。幼少期は保守的なプロテスタントの家庭で育ち、父親は鉄工所のマネージャーでした。家族は君主制を支持し、右翼団体「鉄兜団」にも所属していたため、ラルは幼少期から政治的な影響を受けた環境にありました。ラルはシュトゥットガルトのキリスト教系のギムナジウムに入学しましたが、1935年にナポラ（ナチスのエリート学校）に転校しました。

第二次世界大戦のエース

1936年、勤労義務を終えた後に陸軍に士官候補生として入隊しますが、1940年に空軍へ転籍。1940年5月にフランス上空で初めて敵機を撃墜し、その名を広めることとなります。彼は「バトル・オブ・ブリテン」にも参加し、急速に飛行隊での地位を上げていきました。

独ソ戦の開始と共に、ラルの戦果は増加し、275機を撃墜する記録を達成しました。彼の戦術は非常に評価され、多くの同僚パイロットからも尊敬を集めました。一方で、1942年には撃墜され、背骨を3か所骨折する重傷を負いましたが、わずか9ヶ月後には復帰し、戦闘を続けました。

1943年4月には飛行隊の指揮官に昇進し、新たな戦局でも不屈の精神で戦い続けました。1944年にはドイツの本土防空を担う部隊に異動となりましたが、再び戦闘中に重傷を負い入院することとなりました。

戦後の復帰

第二次世界大戦が終結した後、ラルは1945年の夏に捕虜収容所から解放されました。彼は一時的に民間で働き、生計を立てます。1956年に新設されたドイツ連邦空軍に入隊し、航空分野へのキャリアを再開しました。奥様も小児科医として共に家計を支えました。

ラルは、その後のキャリアで米国での訓練を受け、ジェット機のパイロットとなり、軍内で数々の重要な役職を歴任します。1970年には中将に昇進し、空軍司令官に就任します。空軍総監として、彼は新型機の導入を進めますが、事故が相次ぎ、批判にさらされる時期もありました。

晩年と死去

ラルは軍から引退した後も、講演や執筆活動を通して自らの経験を語り続けました。2004年には回想録『Mein Flugbuch』を出版しましたが、邦訳はまだされていません。2009年10月、彼は心臓発作により91歳で亡くなりました。彼の死は、多くの人々にその功績を思い起こさせるものであり、多くの軍事的な伝説と共に語り継がれています。

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