クマ牧場

クマ牧場とは

クマ牧場は、クマを主体に飼育・展示する施設であり、動物園やテーマパーク、観光牧場といった形態で見られます。「熊牧場」と称する施設も存在します。

多くのクマ牧場では、来場者がクマに直接給餌できることが特徴で、その様子を間近で観察できる点が魅力となっています。この形態の先駆けとなったのは、北海道にある「のぼりべつクマ牧場」であり、この施設が成功を収めたことで、日本全国にクマ牧場が広まっていきました。

また、クマ牧場は、野生に帰すことが困難なクマたちの保護・収容施設としての役割も担っています。

本来、「牧場」とは広大な土地で家畜を放牧する場所を指しますが、日本ではクマを飼育する施設に「クマ牧場」という名称が用いられたため、中国などにあるクマの家畜繁殖場である「熊農場」と混同されることがあります。

中国の「熊農場」は、動物園ではなく、熊製品を生産するための畜産場ですが、規模や施設が日本のクマ牧場と類似していることから、誤って「クマ牧場」と呼ばれることがあります。

日本のクマ牧場一覧

現在、日本では以下の6つのクマ牧場が開設されています。

北海道
のぼりべつクマ牧場（登別市）
昭和新山熊牧場（昭和新山・有珠山山麓）
ベア・マウンテン（新得町・サホロ岳）
秋田県
北秋田市阿仁マタギの里熊牧場（北秋田市阿仁地区）
岐阜県
奥飛騨クマ牧場
熊本県
阿蘇カドリー・ドミニオン（阿蘇市）

施設概要

日本のクマ牧場における一般的な施設概要は以下の通りです。

飼養場: 安全性を考慮し、高いコンクリート壁で囲まれていることが多いです。飼養場内には、クマが休息するための木製や金属製の台、遊び道具、池などが設置されている場合があります。
底面: 飼養場の底面は平面型が主流ですが、斜面型も存在します。
清掃: コンクリート製の飼養場は、ホースで水をかけながら清掃することが可能です。

クマのポーズ

クマは様々なポーズを見せることがあります。以下はその一例です。

立っている時: 手を上げる、手を振る、手を口に当てる、両手を挙げる、腹を叩くなど。
寝転がっている時: 手や足を片方上げる、両手両足を上げる、足をV字に開くなど。
座っている時: 手だけでアピールする、足先を掴んでみせるなど。
池にいる時: 手で水面を叩くなど。

特に、V字に開脚して足先を掴むポーズは、人間のヨガのポーズに似ていると評されることがあります。このポーズを綺麗に決めるヒグマの写真が、「全日本動物写真コンテスト」の作品として朝日新聞に取り上げられたこともあります。

クマのボス

クマの群れには順位があり、最も強いクマが優先されます。複数のオスを飼育すると、通常「第一位」のクマが現れ、これが「ボス」と呼ばれます。ボスになるには、ケンカの強さだけでなく、他のクマからの承認も必要です。

ボスとなったクマは、定期的に牧場内を巡回し、自分の力を誇示することで、他のクマを圧倒し、不要なケンカを抑制する効果があります。この行動は、群れの安定に繋がります。

社会的意義

クマ牧場は、動物園と同等の設備を備え、野生動物の保護、観察、研究を行う場としての役割も担っています。クマ対策ゴミ箱の開発や、ヒグマによる事故の検証なども行われています。

環境省の調査によると、動物園を含む国内のクマの総飼育数の過半数はクマ牧場が所有しており、クマ牧場は動物園へのクマの供給源としての役割も果たしています。

クマ牧場で行われる講座の例

クマの嫌いなもの
飼育係の仕事
クマ牧場のボスについて
クマの耳について
クマの冬ごもり
クマの能力について
クマの食べ物
クマのお母さん
エゾヒグマの話
リスについて

歴史

1958年：のぼりべつクマ牧場が開業。世界初の多頭飼育。
1969年：昭和新山熊牧場、定山渓熊牧場が開業。
1973年：阿蘇熊牧場（現阿蘇カドリー・ドミニオン）が開業。
2006年：日本初のベアマウンテンが開業。
2012年：秋田八幡平熊牧場でクマが脱走する事故が発生。
* 2022年：のぼりべつクマ牧場がエンリッチメント大賞を受賞。

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