有珠山

有珠山の概要

有珠山（うすざん）は、北海道の洞爺湖の南に位置する標高737mの活火山である。この山は常に観測対象とされており、札幌と函館の中間に位置しているため、多くの観光客に親しまれている。山の頂上は有珠郡壮瞥町内にあり、山体は虻田郡洞爺湖町や伊達市にまたがっている。有珠山は支笏洞爺国立公園内にあり、昭和新山と共に「日本の地質百選」に選定されている。また、洞爺湖有珠山ジオパークとして「日本ジオパーク」及び「世界ジオパーク」に認定されている。

山名「うす」の由来はアイヌ語の「ウㇲ（入江）」であり、地域の噴火湾沿岸に位置する入江に由来している。この山の形状が臼型であることから、和人が「臼が嶽」または「臼岳」と名付けたという歴史もある。有珠山は洞爺カルデラの南麓に位置し、二重式の火山として知られ、その構造には外輪山、側火山やカルデラ内に形成された小有珠や大有珠、昭和新山といった多様な地形が含まれる。

地質と形成

有珠山の形成は約1万5千年から2万年前にさかのぼる。最初は、安山岩マグマによる爆発的な噴火が行われ、その後は玄武岩質のマグマが噴出してカルデラの南壁付近に成層火山やスコリア丘が形成された。その後、約7千年から8千年前に大規模な山体崩壊が発生し、直径1.8kmの馬蹄形カルデラが形成された。

有珠山の活発な火山活動は1663年に始まり、以来周期的に爆発を繰り返している。これらの噴火は特に粘性の高いマグマを含み、噴火活動の前兆として地殻変動や群発地震が観測されることが多い。20世紀には4度の噴火が記録され、国際的にも活発な火山として知られている。

噴火の歴史

有珠山の噴火史は主に、山体崩壊前と崩壊後の活動に分けられる。

山体崩壊前の活動

約1万5千年前から2万年前の初期活動は、長和テフラと呼ばれる爆発的噴火で知られている。その後、安山岩から玄武岩質の噴出物が確認され、これにより初期の火山が形成された。約11万年前の洞爺カルデラの形成後もこの活動は続き、約5万年前に中島ができるまで発展していった。

山体崩壊

約7千年から8千年前の山体崩壊により、馬蹄形のカルデラと岩屑なだれが形成された。以降、火山活動は江戸時代に入るまで休止していたと考えられている。

崩壊後の活動

1663年以降、有珠山は再び活発な噴火を始め、流紋岩やデイサイトマグマを噴出する爆発的な活動が特徴的である。特に1663年の寛文噴火は文献記録において最大規模であり、多くの被害をもたらした。この噴火では軽石や火山灰が大量に噴出し、周囲の住民にも被害が及んだ。

有珠山の噴火活動は、文政噴火（1822年）や嘉永噴火（1853年）、明治噴火（1910年）など、時代を跨いで多くの人々に影響を与え続け、多くの文献に記録されている。

自然と観光

有珠山周辺は美しい自然景観も魅力的で、多くの観光施設が点在する。特に洞爺湖ビジターセンターや火山科学館では、有珠山の火山活動に関する詳しい展示が行われており、観光客の関心を集めている。また、山を巡る散策路や展望台も整備されており、訪れる人々にその美しさを楽しむ機会を提供している。特に金比羅山火口展望台からは、噴火の影響を受けた山々や湖の美しさを一望することができ、多くの訪問者にとって魅力的なスポットとなっている。

このように有珠山は、火山活動の歴史と自然の美しさを兼ね備え、観光地としても重要な役割を果たしている。今後もその活動を注意深く観察し、地域の防災対策を進めることが求められている。

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