グロート

グロートは、かつてイギリスで用いられていた通貨単位であり、1グロートは4ペンスの価値を持っていました。

起源と歴史

グロート銀貨の起源は、13世紀にチロル地方で発行されたグロッシェン銀貨に遡ります。イギリスにおいては、1278年にイングランド王エドワード1世の時代に初めて登場しました。当初、グロート銀貨は89グレインの量目を有し、当時のペニー銀貨4個分の価値に相当しました。

その後、グロート銀貨はイギリスで最も広く流通する銀貨として、チャールズ1世の時代までその地位を保ちました。しかし、共和制時代を経て王政復古を迎えると、通貨の中心はシリング銀貨や6ペンス銀貨へと移行しました。グロート銀貨は、その後、マウンディーマネー（聖木曜日に国王が貧困層へ贈る下賜金）として、儀式的な意味合いを持つ貨幣セットの一部として製造が続けられることとなりました。

ヴィクトリア女王の時代には、イギリス本国と英領ギアナでの流通を目的として、新たなグロート銀貨が製造されました。この銀貨の裏面にはブリタニア女神の坐像が描かれていたため、通常のグロート（マウンディ・グロート）とは区別され、「ブリタニア・グロート」と呼ばれました。この銀貨は29グレインの量目であり、初期のグロート銀貨と比較してかなり小型化されていました。

グロートは、その長い歴史の中で、通貨としての役割だけでなく、イギリスの社会や文化にも深く関わってきました。その変遷は、イギリスの歴史を映し出す鏡とも言えるでしょう。

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