コウマ

コウマ（黄麻）とは

コウマ（学名：Corchorus capsularis）は、通常「ツナソ」と呼ばれる一年生草本で、主にインドや中国南部が原産とされています。別名には「インド麻」や「カルカッタヘンプ」があり、日本の熊本県や岡山県では「イチビ」とも呼ばれています。しかし、イチビという名前は別の植物（学名：Abutilon theophrasti）に由来しているため、混同しないように注意が必要です。

コウマの英語名は「ジュート」で、この植物はジュート繊維の主要な原料として広く知られています。同じ属に属するシマツナソ（C. olitorius）は、別名として「タイワンツナソ」や「ナガミツナソ」があり、野菜としての「モロヘイヤ」としても知られています。これらの植物はともにジュートの生産に利用されます。

特徴

コウマは高温多湿な環境を好むため、主に温暖な地域で栽培されます。播種は2月から5月に行われ、約4ヶ月の成長期間で、通常は2メートルから3メートルの高さに成長します。その果実は球形または長円筒形で、刈り取りは6月から9月に行われますが、収穫のタイミングによって繊維の質が異なります。一般的には、花が落ちる時期の繊維が最も繊細で強度もあるため、良質なジュートが得られます。

栽培地域

コウマの主な栽培地域はインドとバングラデシュですが、中国では長江以南の地域が適しています。これらの地域は高温多湿で、土も有機質に富んでおり、ジュートの栽培に理想的な環境が整っています。

日本では、熊本県や岡山県で少量の生産が行われており、一部では畳の表面用の竪糸を得るために栽培されたこともあります。

ジュート繊維の利用

コウマから得られるジュート繊維は多岐にわたる用途があります。具体的には、以下のようなものがあります：

• - 導火線：その優れた抱合性から導火線に使用されます。
• - 畳表糸：伸度が少ないため、畳のたて糸として利用されます。
• - ひも：自動稲刈り機の結束用ひもなどに使用されますが、耐久性が必要なロープには適しません。
• - カーペット基布：タフテッドカーペットの裏地の基布としても利用されています。
• - 南京袋：これもジュートの利用の一例です。

環境への配慮

コウマは自然生態系の中で短期間で再生でき、焼却しても有害物質を発生させず、土中に埋めればバクテリアによって完全に分解されます。このため、環境への負荷が少ない素材としての注目を集めています。また、コウマは二酸化炭素を高い割合で吸収することができ、地球温暖化の抑制にも寄与するとされています。

参考文献

• - 衛傑文・楊関坭・他編『現代中国地誌』古今書院、1988年。 ISBN 4-7722-1104-7

外部リンク

• - ジュートについて（日本麻紡績協会）
• - ジュート生産の統計
• - コトバンクのコウマ
• - 国際ジュート協定 (コトバンク)

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