サタヒコ

サタヒコ（佐田彦神）

サタヒコ、または佐田彦神は、神道における重要な神であり、伏見稲荷大社の中社で祀られています。この神は、主祭神のウカノミタマの配神となっており、農業や交通の安全を司る存在とされています。

神名の由来と特徴

この神の名前は、「佐田」という部分から、神聖な稲を植える田を意味すると解釈されることがあります。この「佐田」は元々「サタ」と読まれていたとも言われ、農耕の重要性を反映しています。

サタヒコは、記紀神話に登場する猿田彦神（サルタヒコ）の別名として考えられており、これが不要な混乱を避けながら神名の変遷をたどる要因となっています。明治以降に「佐田彦神」として広く知られるようになりますが、室町時代の文献『二十二社註式』には「猿田彦神」として記載されています。

上社の神としての位置付け

元々、サタヒコは伏見稲荷の上社に位置づけられていた可能性があります。上社、下社、中社の三社形式が存在し、それぞれ異なる神格が祀られています。文献においては、上社を「猿田彦命」として紹介しており、古くは稲荷山の山神として崇められていました。この上社の神は、稲荷山の地主神ともされ、後に穀物神と関連づけられました。

江戸時代の文献『雍州府志』や『神社啓蒙』では、サタヒコが稲荷の重要な神であったことが記録されています。特に『雍州府志』にある「大田命」の名は、サタヒコが地主神の子孫であることを示唆しています。

中社における神威

江戸時代の後期になると、かつて中社の神とされていたウカノミタマが下社に移され、その結果、サタヒコが中社で祀られるようになりました。現在では、サタヒコは「衢の神」や「導きの神」として知られ、交通安全や道中の守護を担っているとされています。

佐太大神との関係

さらに、島根県の佐太神社に祀られる佐太大神は、大国主命の命を救った伝説を持つ神であり、平田篤胤がこの佐太大神とサタヒコが同一であると解釈したことから、両者は神道において深い関わりを持つとされています。

総括

サタヒコは、日本の神道において多様な役割を果たしてきた神であり、地域の信仰や伝承に深く根付いています。伏見稲荷大社の中社での祭神としての地位も重要であり、特に交通や農業における神徳は、現代においても多くの人々に信仰されています。

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