サルタヒコ

サルタビコノカミ（猿田毘古神）

サルタビコノカミ、または猿田毘古神は、日本神話に名を刻む神で、特に『古事記』や『日本書紀』に登場します。その名は、猿田毘古大神や猿田彦命として記されています。彼は天照大御神の命を受けて、邇邇芸命を道案内した国津神として知られています。彼の神話は、伊勢国五十鈴川の近くに土地を持つとされ、中世には庚申信仰や道祖神の信仰とも結びついていました。

神話における役割

邇邇芸命が地上に降り立つ際、彼は天の八衢に立つ神から道案内を受ける。しかし、その神の姿は極めて特異で、鼻は七咫、目は八咫鏡のように輝いているとされます。この神こそが猿田毘古神であり、彼は邇邇芸命を無事に葦原中国へ導きました。

伝説によれば、邇邇芸命は到達後、猿田毘古神の名を確定させ、天宇受売命に猿田毘古神を仕えるようにと命じました。猿田毘古神の故郷へ帰った後、彼は漁をしている最中に比良夫貝に手を挟まれ、溺れるという事件が発生します。この際に三柱の神が生まれ、その後阿射加神社で祀られています。

信仰の広がり

『倭姫命世記』によれば、倭姫命が土地を求めて巡業中に、猿田彦の子孫である大田命が彼女を先導したとのことで、彼らは伊勢神宮に深く関わっています。大田命の子孫は宇治土公と称され、その後代々神社の玉串大内人を務めてきました。

また、猿田毘古神は伊勢の翠松碑に葬られ、今日では多くの神社で彼を祭神として祀る人々がいます。特に椿大神社や二見興玉神社は有名です。

現代における猿田彦神

猿田彦神はその特徴から道の神としても見られ、旅人の守護神として祭られることがよくあります。彼の存在は道祖神との結びつきも深く、全国各地でその名が見られます。そのため、妻である天宇受売神と共に祀られるのが一般的です。

さらに、猿田彦神は近年、学者たちによって新たに注目されるようになりました。鎌田東二氏は、彼を日本的霊性の象徴として位置づけ、彼の神話は新たな時代の幕開けを告げるものと解釈しています。

創作における影響

現代でも、猿田彦は小説や漫画のキャラクターとして頻繁に登場し、その物語にはいつも特徴的な描写が施されています。手塚治虫の『火の鳥』シリーズには彼の名を持つキャラクターが毎回現れ、特に鼻の大きい姿が印象に残ります。このように、サルタヒコのシンボリズムは現代の創作文化にも影響を及ぼしているといえるでしょう。

このように、サルタビコノカミは日本神話の中で多様性に富み、今日まで続く信仰や文化に大きな影響を与えている存在です。

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