サリエル

サリエルについての詳解

サリエル（Sariel）は、神からの命令を象徴する大天使であり、死を司る存在です。彼はエノク書において、七大天使の一人として記されています。また、彼はスリエル、サラカエル、ゼラキエルとも呼ばれることがあります。サリエルの特異な役割や、その歴史的背景について深堀りしていきます。

概要

サリエルは神の前に立つことを許された十二人の御前天使の一人であり、神の玉座の近くで役割を果たすことができる特権を持っています。彼は神の意志を実行する司令官としての役割を担い、時には医療に関する知識を持つ者ともされ、癒しの力を持つ天使として知られています。このような彼の特性から、サリエルはラファエルの右腕としても働いていたという説があります。

サリエルの任務

エノク書によると、サリエルは罪に導く者たちの霊魂を監視する任務を持っています。彼の役割は、人間の魂が穢れを帯びるのを防ぐことであり、そのため死を司る天使とされています。また、彼は死者の魂を狩る存在とも言われており、大鎌を持つ形象で表現されることもあります。さらに、堕落した天使たちの罪を評価し、彼らを堕天させる役割もあるため、しばしば彼の心の内には仲間を思い涙を流している姿が描かれます。

月の支配と堕天使の視点

サリエルは月を支配する天使でもあり、これは彼が堕天使と見なされる理由の一つです。月は古代の人々にとって強力な霊的象徴であり、生と死の運命を象徴する存在とされていました。古代日本でも、月が人の誕生や死に関与しているとの信仰が残っていることから、月への信仰は非常に根深いものがあります。サリエルが月の魔力を人間に教えたことが、彼の堕天につながったとも考えられています。

邪視の始祖

また、サリエルは「邪視」の元祖ともされ、この力は一瞥で相手に害を及ぼすものであると言われています。彼に関連する護符は、邪視から逃れるための力を持ち、しばしばその名を冠した護符が使用されてきました。この邪視の概念は、東洋や西洋、アラブ圏を問わず多くの文化において恐れられています。

歴史的背景とサリエルの位置

エノク書における四大天使の概念は、時代を経るにつれて変化しました。初期のテキストではミカエル、サリエル、ラファエル、ガブリエルという順序でしたが、後にラファエル、ガブリエル、ミカエルといった順番が一般的になりました。このように、サリエルの位置づけは改変され、その役割はウリエルやイストラエルにシフトしていくことになりました。死海文書の時代まで、サリエルの存在は重要視されていましたが、後の世代では彼の存在が曖昧になり、異なる解釈が生まれました。

まとめ

サリエルはただの大天使という枠を超え、神秘的な存在であり、その伝説や役割は今でも多くの人々に影響を及ぼしています。彼のイメージは死や霊魂、そして月の魔力と結びつけられ、数世紀にわたり語り継がれています。サリエルに関する知識を深めることで、私たちは古代の信仰や考え方に触れることができるでしょう。

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