サワラ

サワラ（鰆、馬鮫魚）

サワラ（学名：Scomberomorus niphonius）は、サバ目・サバ科に属する海水魚で、特に食用として漁獲されています。サワラはその成長段階によって呼び名が変わり、サゴシ（約40-50cm）、ナギ（50-60cm）、そしてサワラ（60cm以上）と呼ばれる「出世魚」として知られています。細長い体形を持ち、「狭腹」という名称はその特徴的な体型に由来しています。他にも地域によって異なる呼称があり、若魚は「ヤナギ」、石川県では「サワラ」がカジキを指すこともあります。

特徴

サワラは最大で体長115cm、体重は12kgに達する大型魚です。通常、メスがオスよりも大きく成長します。サバ科の中でも特に前後が細長く、左右に平たい体型をしています。口は非常に大きく、鋭い歯を持つため、捕食者としても優れています。側線は波打っており、さらに分岐が多いのが特徴です。また、体の背側は青灰色で、腹側は銀白色。体側には暗色の斑点が縦に7列ほど配置されています。

生態

サワラは北海道南部から東シナ海にかけて分布し、特に日本の温帯・亜熱帯海域に生息しています。分布系群は二つに分けられ、一方は黄海、もう一方は瀬戸内海を産卵場としています。春から秋にかけては表層で群れを作って泳ぎますが、冬季は深場に移動します。主にカタクチイワシやイカナゴなどの小魚を食べる肉食性です。産卵は春から初夏に行われ、仔魚は成長するに連れて急速にサイズが増し、1年で46cm、3年で78cm、4年で84cmに達します。寿命はオスが約6年、メスが約8年とされています。

利用

サワラの身は白身魚として調理されることもありますが、実際には赤身魚に分類されます。日本では焼き魚や西京味噌を使った「西京焼き」、唐揚げとして消費されることが多いですが、身が柔らかく煮物には適していないとも言われています。一部の地域では刺身にも加工され、香川県ではサワラの卵巣からカラスミが作られます。また、若魚のサゴシは出汁をとるための煮干しとしても人気があります。

漁獲は沿岸漁業で行われ、春が旬とされますが、実際には秋と冬が最も美味と言われ、特に冬の「寒鰆」は珍重されます。漢字の「鰆」は春に沿岸に現れることが由来です。かつては漁獲量が減少していましたが、近年は漁業規制と種苗放流などにより回復傾向にあります。また、稚魚の共食いが資源維持の課題とされています。

漁獲状況

主な漁港としては、福岡県の博多漁港が第1位で、続いて長崎漁港、浜田漁港などがあります。日本近海で水揚げされるサワラは高価ですが、韓国からの輸入品も見られ、「オキサワラ」と呼ばれる安価な切り身が流通しています。中国では「鮁魚」として知られ、蒸しや煮込み料理、さらには餃子の具として利用されることもあります。台湾でも天ぷらやスープに使われるなど、さまざまな料理に取り入れられています。

近縁種

サワラ属には全世界で約18種が属し、日本近海でも4種が確認されています。その中には、ヨコシマサワラやヒラサワラなどがあり、それぞれ特徴的な体型や漁獲量があります。これらの魚も料理に利用されています。

サワラはその独特の特性と利用法から、海の食文化において重要な位置を占めており、これからも愛され続けることでしょう。

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