長崎漁港

長崎漁港：東シナ海の恵みと研究の拠点

長崎漁港は、長崎県長崎市にある特定第3種漁港です。かつては長崎港内にありましたが、1989年（平成元年）に、長崎市北西部の畝刈・三重地区に移転しました。このため、新長崎漁港と呼ばれることもあります。

長崎漁港の概要

長崎漁港は、長崎県が管理し、長崎市新三重漁業協同組合の組合員（2001年12月時点で227名）によって運営されています。2018年度の水揚げ量は61,813トンにも及び、全国でも10位にランクインするほど、豊富な水産資源の集積地となっています。

主な漁業は、まき網漁業、底引き網漁業、そして近海カツオ一本釣りです。特に、東シナ海を漁場とする底引き網漁業「以西底引き」の重要な拠点として知られており、多様な魚種の水揚げに貢献しています。

漁港の南岸には、多以良町という地域があり、農林水産省水産庁水産研究・教育機構水産技術研究所本所、長崎大学環東シナ海海洋環境資源研究センター、長崎県総合水産試験場という3つの研究施設が立地しています。これらの研究機関の埠頭には、水産技術研究所の調査船「陽光丸」、長崎大学水産学部の練習船「長崎丸」「鶴洋丸」、さらには長崎県警察の巡視艇などが停泊しており、活気ある研究環境を象徴しています。

長崎漁港の沿革と発展

長崎漁港は、1951年9月7日に特定第3種漁港に指定されました。これは銚子漁港に次いで全国で2番目の指定であり、その歴史の長さと重要性を示しています。

1972年には、畝刈・三重地区への新漁港建設が竣工しました。三重浦の遠浅の海岸を埋め立て、浚渫を行い、湾口に防波堤を建設する大規模な工事が行われました。同時に、周辺地域では加工場や住宅地の造成が進み、都市化が急速に進行しました。

しかし、1987年8月末には、台風12号によって完成間近だった新漁港が大きな被害を受けるという出来事がありました。これにもかかわらず、1989年には無事に漁港機能の移転が完了しました。

近年では、2019年に完成した漁港防災緑地「おのうえの丘」が、長崎県庁舎、長崎県警察本部庁舎と共に2019年度グッドデザイン賞、土木学会デザイン賞優秀賞を受賞するなど、環境と防災を両立させた取り組みも高く評価されています。

長崎漁港の水揚げ

長崎漁港では、多種多様な魚介類が水揚げされています。2002年の全国水揚げ量では、ハモが第1位、アジ類、サワラ、ヒラメが第2位、サメ類が第5位、アワビが第8位、ブリが第10位と、多くの魚種で高い水揚げ量を誇っていました。他にも、サバやイワシ類など、多くの魚種が水揚げされています。

長崎漁港の今後の展望

長崎漁港は、水産資源の豊かな東シナ海に位置し、多くの研究機関が集積するなど、水産業の中心地として重要な役割を担っています。今後も、持続可能な漁業の推進、水産資源の保全、そして地域社会の発展に貢献していくことが期待されています。

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