シルクハット

シルクハットについて

シルクハット、またの名を絹帽（英: silk hat）は、紳士の正礼装である燕尾服やモーニングコートに合わせて着用される特別な帽子です。これは、常に高いクラウンと特徴的なつばの形を持った帽子で、特にフォーマルな場面での着用が一般的です。

概要

シルクハットは、円筒状の高いクラウンが平らな頂点をもち、つばの両端が上に反り上がるデザインが特徴的です。元々はビーバーの毛皮で作られていましたが、やがて乱獲によるビーバーの減少により、絹が代用として広く使われるようになりました。これが「シルクハット」という名前の由来です。
日本ではシルクハットという用語が一般的ですが、英語では「トップハット（top hat）」という名称が広く使われており、「トッパー」とも親しみを込めて呼ばれることがあります。この「トップハット」は、絹製のものを特に指す場合に使われ、その形状を明確にするためにそう呼ばれます。

歴史

シルクハットの起源は1797年に遡ります。ジョン・ヘザリントンがデザインしたのが初めてのものだと言われています。シルクハットは一時ビーバー毛皮で製作され、その後絹製へと移行しました。アメリカでは、特に19世紀に「ストーブパイプハット」と呼ばれるスタイルが流行し、リンカーン大統領の時代に一躍人気を博しました。このスタイルはクラウン部分が直線的で、上下に広がらない特性を持っています。

その後、トップハットは折りたたむことができるヒンジ付きのデザイン（オペラハットやジャイブス）へと進化し、さまざまな用途やスタイルを持つようになりました。しかし、19世紀後半になると一般的なファッションとしては利用が減少し、中流階級はソフト帽や山高帽などのより実用的な帽子を好むようになりました。このような時代背景の下で、トップハットは上流階級の象徴としての役割を果たしました。

第一次世界大戦の後、日常生活におけるシルクハットの利用はほぼ消え、1930年代末にはモーニングスーツやタキシードの特定の場面でのみ使用されるようになっています。それでも、政治や国際外交の場では一定の人気を維持していました。特に、当時のソビエト連邦では外交官によるシルクハットの着用について激しい議論が行われました。これは、帽子を被った男性が資本家層の象徴として扱われることがあったためです。

現代におけるシルクハット

現在でもシルクハットは特別なイベントやマジックショーなどで姿を見かけることがあります。また、著名な音楽家であるガンズ・アンド・ローゼズのギタリスト、スラッシュがシルクハットを愛用していることでも知られています。近年では、イミテーションの素材を用いて作られたトップハットも流通しており、通常は安価なウールフェルトやポリエステルが使われています。これに対して、毛皮や絹製のものは今でも高価な品となっています。

シルクハットは、永遠のエレガンスを象徴する存在として、現代でも愛されています。

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