ジョイボール

ジョイボールは、株式会社ハル研究所が開発・発売した、ボール型のジョイスティック型ゲームコントローラーです。ファミリーコンピュータ（FC）版とMSX版が存在し、それぞれ「JOY BALL」「Joy ball MSX」という名称で販売されました。このコントローラーは、当時のゲーム業界において画期的な製品であり、特に連射機能の搭載は大きな話題を呼びました。

概要

1985年夏、ジョイボールはFC用の増設コントローラーとして登場しました。特徴的なのは、世界初となる15連射モードを搭載したことです。本体前面のエキスパンドコネクタに接続して使用し、当時の高橋名人の連射ブームに乗って、大きな人気を獲得しました。キャッチコピーは「ジョイスティックを超えた新兵器」「点とり虫の、どこが悪い。」と、その革新性をアピールしていました。同年中にはMSX対応版も発売され、幅広いユーザーに受け入れられました。しかし、翌年以降、競合他社から16連射、24連射、32連射など、より高度な連射機能を備えたコントローラーが登場し、競争が激化しました。特に、ハドソンの「ジョイカードMk-II」やホリ電機の「ホリコマンダー」などは、その代表的な製品です。

操作性

商品のパッケージには「操作性抜群」と記載されていますが、実際に使ってみると、その独特な操作性はゲームのジャンルによって向き不向きがあることがわかりました。シューティングゲームでは、初心者でも扱いやすく、長時間の使用でも疲れにくいというメリットがありました。しかし、格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGのように、十字キー（方向キー）を細かく操作したり、メニュー選択を頻繁に行うゲームには不向きでした。そのため、ファミコン初期のシューティングゲームブームが落ち着くとともに、ジョイボールは第一線から退くこととなりました。

コントローラ

形状

FC対応版：
方向キーにあたるレバー部分が球状になっているのが最大の特徴です。その大きさはソフトボールほどもあり、プレイヤーは球体部を掌で握るように操作します。このため、指が痛くなりにくいという利点がありました。一般的なジョイスティックとは異なり、「棒状のレバーを握る」のではなく、「球体を握る」という独特の使用感があります。また、ボール頂部のくぼみに親指をかける持ち方も存在しました。土台は黒色、ボールは黄色と黒色、ボタンは橙色、文字色は黄色という配色です。
MSX対応版：
基本的な形状はFC版と同じですが、配色が異なります。FC版の黄色と橙色の部分が、灰色に近い青色になっています。

機能

FC対応版
方向キー8入力
連射モード切り替えスイッチ（▶：通常モード、▶▶：15連射モード）
START、SELECT、A、Bボタン
MSX対応版
主な機能はFC版と同じですが、START・SELECTボタンの代わりに、連射モードのA・Bボタンが搭載されています。
方向キー8入力
連射モード切り替えスイッチ（SLOW：通常モード、FAST：15連射モード）
A、▶▶A（連射モードA）、B、▶▶B（連射モードB）ボタン

対象ゲーム

ほとんどのゲームで使用可能ですが、一部のゲームでは使用できない場合があります。特に『ハイパーオリンピック』は、コナミ公式では専用コントローラ「ハイパーショット」以外使用不可とされていましたが、HAL研究所はジョイボールの広告で「ハイパーオリンピックに使用可能」と明言しました。連射モード切り替えスイッチを通常モードと連射モードの中間の位置に設定することで、連射機能を利用することができたようです。

周辺機器

ジョイペア（HAL研究所）：
* ファミコンには拡張コネクタが一つしかないため、ジョイボールを2人で同時に使用するための周辺機器として発売されました。端子が2つあり、ソフトによっては4人同時プレイに対応していました。ジョイペアはマルチタップとしては最も初期の製品の一つです。たとえば、『ダウンタウン熱血行進曲』では、このジョイペアのプレイヤー1・プレイヤー2に接続したコントローラーが、それぞれプレイヤー3・プレイヤー4に割り当てられるという構造でした。

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