ジョナサン・ジョースター

ジョナサン・ジョースターは、荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』Part1『ファントムブラッド』の主人公です。1868年4月4日、イギリスに生まれ、由緒ある貴族ジョージ・ジョースターI世の息子として育ちました。第二部『戦闘潮流』の主人公ジョセフ・ジョースターの祖父であり、第三部以降にも彼の子孫が登場します。正義感が強く、心優しい性格で、困難に立ち向かう勇気を持った人物です。作者の荒木飛呂彦は、歴代主人公の中で最強はジョナサンではないかと語っています。

生い立ちとディオとの出会い

ジョナサンは、紳士を目指して日々努力する少年でした。しかし、ジョースター家の養子となったディオ・ブランドーとの出会いが、彼の運命を大きく変えます。ディオはジョースター家の財産を狙い、ジョナサンを精神的に追い詰めようとします。愛犬ダニーを傷つけたり、恋人エリナを襲ったりするなど、ディオの執拗な嫌がらせはエスカレートしていきました。ついに怒りを爆発させたジョナサンは、ディオに反逆し、初めて勝利を収めます。

成長と石仮面の謎

ディオとの出会いから7年後、ジョナサンは身長195cm、体重105kgの巨漢に成長し、紳士として立派に成長しました。大学ではラグビーで活躍する傍ら、考古学を学び、少年時代にディオとの喧嘩で偶然作動した「石仮面」に興味を持ち研究していました。ディオとは友人として接していましたが、ジョナサンは幼い頃の経験から彼に友情を抱けずにいました。大学卒業間近、父ジョージ・ジョースターが病に倒れます。ディオの父親の遺書から、ディオが実の父親を毒殺し、ジョージ卿も手にかけようとしていることに気づきます。ジョナサンは、単身でロンドンの貧民街に赴き、そこで出会ったスピードワゴンの協力を得て、ディオの悪事を暴こうとしますが、追い詰められたディオは石仮面の力で吸血鬼に変貌してしまいます。

波紋の力とディオとの決着

不死身の怪物となったディオを倒すため、ジョナサンは屋敷に火を放ち、自らも深手を負いながらもディオを倒します。その後、病院でエリナの献身的な看護により意識を回復し、再会を果たします。退院後、ジョナサンは波紋の達人ウィル・A・ツェペリと出会い、ディオがまだ生きていることを知らされます。ツェペリに弟子入りし、波紋を習得したジョナサンは、ディオを追う中で師を失いますが、彼の遺志を継いでさらに成長し、ディオとゾンビたちを倒します。

悲劇的な最期と子孫たち

1889年2月2日、ジョナサンはエリナ・ペンドルトンと結婚しますが、新婚旅行中にディオに襲撃され、致命傷を負います。瀕死の状態ながらもディオの配下を撃破し、船を爆発させてゾンビたちを掃討しようとします。エリナと赤ん坊を逃がすためにディオの首を抱いたまま息絶え、客船の爆発に消えました。享年20歳。ジョナサンの死後、エリナは子供を授かっており、ジョースター家の血筋は受け継がれていきます。

その後の影響

ジョナサンは死亡しましたが、Part3ではディオがジョナサンの肉体を乗っ取って登場します。ジョナサンの肉体は、子孫たちにスタンド能力を発現させるきっかけになったり、呪縛となったりするなど、様々な影響を与えました。

Part4以降のシリーズでも、ジョナサンの血を引くキャラクターたちが登場し、物語に深く関わっています。Part5の主人公ジョルノ・ジョバァーナは、ディオの遺児であり、ジョースターの血と星のアザ、スタンド能力を受け継いでいます。

ノベライズと波紋法

小説『OVER HEAVEN』では、ディオ側の視点からジョナサン像が掘り下げられています。また、小説『JORGE JOESTER』では、ジョナサンの父ジョージが登場し、彼が海難事故に遭った際に波紋法の基礎を体得したことが語られています。

ジョナサンの主な波紋技には、以下のものがあります。

ズームパンチ
山吹色の波紋疾走（サンライトイエローオーバードライブ）
青緑波紋疾走（ターコイズブルーオーバードライブ）
銀色の波紋疾走（メタルシルバーオーバードライブ）
緋色の波紋疾走（スカーレットオーバードライブ）
生命磁気への波紋疾走
* 最後の波紋

スタンド能力

Part3序盤では、ディオがジョセフのハーミットパープルに似たスタンドを使用しています。これは、ジョナサンのスタンドであるとされており、水晶玉への念写や、血縁者の運命を予知する能力を持っています。小説版では「ザ・パッション」と呼ばれています。

キャスト

ジョナサン・ジョースターの声優は、ゲーム版では田中秀幸と中井和哉、劇場アニメ版では小西克幸、テレビアニメ版では興津和幸が担当しています。また、ミュージカル版では松下優也と有澤樟太郎が演じています。

ジョニィ・ジョースター

ジョニィ・ジョースターは、『ジョジョの奇妙な冒険』Part7『スティール・ボール・ラン』の主人公です。本名はジョナサン・ジョースターで、アメリカ出身の没落貴族の末裔です。下半身不随の過去を持ち、レースに参加することで生きる希望を見出します。帽子とズボンには星条旗を連想させる星形のデザインが施されています。

生い立ちと過去

ジョニィは幼い頃、イギリスに住んでいましたが、父の牧場があるケンタッキー州に戻ります。5歳で馬に乗り始め、天才ジョッキーとして期待されていましたが、下半身不随になり引退を余儀なくされました。兄ニコラスを尊敬していましたが、兄は事故死してしまいます。父親との関係も悪く、レースにも見舞いにも来ない父親を恨んでいました。過去の経験から「見えない宿命に縛られている」という考えを持ち、後悔と失意に満ちた人生を送っていました。

レースへの参加と目的

ジョニィは、レースに参加したジャイロ・ツェペリとの出会いをきっかけに、再び生きる希望を見出します。レースに参加する当初は下半身不随を治せるかもしれないという期待を寄せていましたが、次第に自身の「マイナス」を「ゼロ」に戻すために「聖人の遺体」を手に入れることを目的としました。その目的を達成するためには手段を選ばず、相手の命を奪うことにも躊躇しません。ジャイロ曰く、人間性を捨てられる男です。遺体に対する執着は人一倍強く、その意思が発動する際には、両目に黒く輝く炎が灯ります。

劇中での活躍

SBRレースで、ジョニィはジャイロの鉄球の「回転」の余波を受け、動かないはずの脚が微かに動いたことから、その秘密を知るためにレースに参加します。当初はジャイロに煙たがられていましたが、徐々に協力関係を築いていきます。レース中に「悪魔の手のひら」に遭遇し、遺体に取り憑かれたことでスタンド能力を身につけます。現役時代から因縁のあるディエゴとは、何度も戦いを繰り広げます。

第8ステージで、大統領が遺体の正当な所有者となったことで、ジョニィは「聖なる遺体を冒そうとする邪悪」と認定されます。それでもなお、ジャイロと共に大統領に挑み、ジャイロと死別しますが、彼の遺志を継いでスタンドを進化させ、大統領に勝利します。しかし、大統領の切り札によって遺体を奪われ、最後の戦いに身を投じることになります。

レースにはリタイアしますが、ジャイロの亡骸を背負い、ジャイロの愛馬ヴァルキリーと共にヨーロッパへ旅立ちます。

その後

Part8『ジョジョリオン』では、ジョニィが東方憲助の娘・理那と結婚し、子供を授かったことが判明しています。公式記録では1901年に日本政府の要望で来日し、杜王町で事故死したとされていますが、杜王町には「ファンタジー伝承」が伝わっています。伝承では、理那の病を治すために遺体を盗み、奇跡の力で治癒しますが、等価交換で息子のジョージに病が移動します。ジョニィは連鎖を断ち切るために自ら病を引き受け、死を選んだとされています。

スタンド能力「タスク（牙）」

ジョニィのスタンド「タスク（牙）」は、自身の爪を高速回転させて攻撃する能力を持ちます。ヴィジョンはACT1からACT3まではジョニィのそばに浮かぶだけであり、「チュミミーン」と鳴き声のようなものを発します。

ACT1

指の爪を回転させ、弾丸のように飛ばす能力。弾数制限はありません。スタンド像は赤子のような姿で、「チュミミィ〜ン」と鳴きます。

ACT2

「黄金長方形」から見出した「黄金比の回転」で爪を回転させる能力。弾数制限があり、着弾した弾痕が回り続ける特性があります。スタンド像は人形のような姿です。

ACT3

無限の回転のタスクで、自分を撃つことで肉体を巻き込み、移動する弾痕から肉体を出すことができる能力。スタンド像は短い手足の生えた人型です。

ACT4

騎兵の回転のタスク。重力を支配する力を持ち、無限の回転エネルギーを放ちます。攻撃が命中すると、対象を粉砕して異次元に消し飛ばすまで永遠に残り続けます。スタンド像は胴体の中央から顔の生えた人型で、顔はザクのモノアイのように動きます。

まとめ

ジョナサン・ジョースターとジョニィ・ジョースターは、それぞれ異なる魅力を持つ『ジョジョの奇妙な冒険』の主人公です。紳士的なジョナサンと、悲壮な過去を背負いながらも生きることを諦めないジョニィ、二人の物語は、多くの読者の心を掴んで離しません。

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