スティール・ボール・ラン

『ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン』（以下、SBR）は、荒木飛呂彦による日本の漫画作品で、集英社の少年[[漫画]]雑誌『週刊少年ジャンプ』（WJ）と青年漫画雑誌『ウルトラジャンプ』（UJ）で連載されました。当初は『スティール・ボール・ラン』というタイトルでWJで連載が開始されましたが、UJに移籍する際に現行のタイトルに変更され、『ジョジョの奇妙な冒険』の正式なPart7となりました。通称はSBRで、単行本は全24巻です。

概要

SBRの舞台は、西部開拓時代のアメリカです。蒸気機関車が大陸を横断する時代に、東から西への逆ルートを馬で走破する「スティール・ボール・ラン」というレースが開催されます。このレースには、破格の賞金と名誉を求めて世界中から参加者が集まります。しかし、その裏ではアメリカ政府の陰謀が渦巻いており、レースは単なるスポーツイベントではなく、様々な思惑が交錯する舞台となります。

物語は、下半身不随の主人公ジョニィ・ジョースターが、謎の男ジャイロ・ツェペリと出会い、レースに挑戦する中で、精神的にも成長していく姿を描いています。ジョニィのスタンドは、彼の成長に合わせて変化していきます。連載当初は、WJで掲載されていましたが、ストーリー展開の都合上、休載を挟みながら1週31ページというペースで掲載されていました。その後、UJに移籍し、タイトルが変更されました。作者の荒木飛呂彦は、青年誌に移籍した理由として、よりダイナミックな表現や、壮大な物語を描きたいという思いを語っています。

また、青年誌になったことで、同性愛やDVなどの倫理的に繊細な描写も増えましたが、作者は、これらの表現も必要だと考えています。単行本第20巻で、『ジョジョ』シリーズは通算100巻を達成しました。

前作との関係

SBRは、Part6までの『ジョジョの奇妙な冒険』とは異なる世界を舞台としています。時代設定はPart1と同じですが、別のジョースター家とディオが登場します。そのため、SBRはパラレルワールドとして位置づけられています。

連載初期には、SBRは独立した作品として扱われていましたが、後に『ジョジョ』Part7であることが明言されました。しかし、過去作の登場人物や設定が頻出するものの、作者は、それらは過去作の先祖やパラレルワールドの存在として捉えてほしいと述べています。また、初期には『変人偏屈列伝』のネタも使われています。

あらすじ

19世紀末のアメリカを舞台に、北米大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」が開催されます。物語は、下半身不随のジョニィ・ジョースターが、謎の男ジャイロ・ツェペリと出会い、レースに参加する中で、成長していく姿を描いています。レースの裏には、聖なる遺体を巡る陰謀が隠されており、ジョニィたちは、陰謀に立ち向かいながら、レースを完走することを目指します。

レースは全9ステージで構成されており、各ステージで様々なドラマが展開されます。ジョニィは、ジャイロとの出会いを通じて、スタンド能力を覚醒させ、成長していきます。また、レースには、様々な個性的な参加者が登場し、物語を盛り上げます。レースの裏で暗躍するアメリカ大統領ファニー・ヴァレンタインは、遺体の力を利用してアメリカを支配しようと企んでいます。ジョニィたちは、大統領の野望を阻止するために、最後の戦いに挑みます。

レースの概要

「スティール・ボール・ラン」は、総距離約6000kmに及ぶ、史上初の乗馬による北米大陸横断レースです。レースは、9つのステージに分かれており、各ステージごとに順位によってポイントが付与され、合計ポイントで優勝者が決定します。コースは自由に選択できますが、チェックポイントを通過する必要があります。

参加資格は16歳以上で、国籍や性別は問われません。賞金総額は、100億円以上で、優勝者には5000万ドルとトロフィーが贈られます。レースには、3852名の参加者が集まり、馬だけでなくラクダや徒歩で参加する者もいます。参加者は、武装が許可されており、自分の身は自分で守る必要があります。運営は、気球からの監視や救助隊を派遣しますが、救助を求めることはリタイアを意味します。レースの判定は、審判員と映写機撮影によって行われます。

登場人物

主要人物

ジョニィ・ジョースター: 本作の主人公の一人で、下半身不随の元一流騎手。ジャイロとの出会いをきっかけに、レースに参加し、成長していく。スタンド能力「タスク」を使う。
ジャイロ・ツェペリ: 本作のもう一人の主人公で、ネアポリス王国の医師・法務官。鉄球を操る特殊技術を持つ。ジョニィと共にレースに参加し、物語を牽引する。スタンド能力「スキャン」「ボール・ブレイカー」を使う。
ディエゴ・ブランドー: イギリスの天才騎手。通称ディオ。レースのライバルであり、スタンド能力「スケアリーモンスターズ」を使う。
ファニー・ヴァレンタイン: アメリカ合衆国大統領。レースの裏で暗躍し、聖なる遺体を集めようとする。スタンド能力「ダーティー・ディーズ・ダン・ダート・チープ（D4C）」を使う。

レース参加者

砂男（サンドマン）: アリゾナ出身のインディアン。馬を使わず、自力でレースに参加する。スタンド能力「イン・ア・サイレント・ウェイ」を使う。
マウンテン・ティム: ワイオミング州のカウボーイ。スタンド能力「オー! ロンサム・ミー」を使う。
ポコロコ: ジョージア州の農民。幸運の持ち主で、レースを混乱させる。スタンド能力「ヘイ・ヤー」を使う。
ホット・パンツ: 男装した女性騎手。修道女の過去を持ち、聖なる遺体を求める。スタンド能力「クリーム・スターター」を使う。
ノリスケ・ヒガシカタ: 明治時代の仙台藩出身の騎手。ホット・パンツの正体を見抜く。

大統領の刺客

ポーク・パイ・ハット小僧: 大統領が送り込んだ刺客。スタンド能力「ワイアード」を使う。
フェルディナンド博士: 地質学者。恐竜化のスタンド能力「スケアリーモンスターズ」を使う。
リンゴォ・ロードアゲイン: 大統領が送り込んだガンマン。独自の美学を持つ。スタンド能力「マンダム」を使う。
ブラックモア: 大統領の部下のスタンド使い。雨を操る能力を持つ。スタンド能力「キャッチ・ザ・レインボー」を使う。
11人の男たち: 大統領が送り込んだ殺し屋集団。スタンド能力「タトゥー・ユー!」を使う。
マイク・O: 大統領護衛警備のスタンド使い。スタンド能力「チューブラー・ベルズ」を使う。
ウェカピポ: 元ネアポリス王国の王族護衛官。鉄球の技術を持つ。
マジェント・マジェント: ウェカピポとコンビを組む刺客。防御スタンドを持つ。スタンド能力「20th Century BOY」を使う。
アクセル・RO: 大統領が送り込んだ刺客。過去を操るスタンド能力「シビル・ウォー」を使う。
ディ・ス・コ: 大統領が送り込んだ刺客。座標を操るスタンド能力「チョコレート・ディスコ」を使う。

レース関係者・その他

スティーブン・スティール: スティール・ボール・ランレースの主催者。ルーシーの夫。
ルーシー・スティール: スティーブンの妻。聖なる遺体の秘密を知る。スタンド能力「涙の乗車券」を使う。
グレゴリオ・ツェペリ: ジャイロの父。死刑執行人。
マルコ: 靴磨きの少年。ジャイロが処刑することになる。
ニコラス・ジョースター: ジョニィの兄。故人。
ジョニィの父: ジョニィの父親。
シュガー・マウンテン: ミシガン湖畔に住む少女。スタンド能力「シュガー・マウンテンの泉」を使う。
スカーレット・ヴァレンタイン: ファニー・ヴァレンタイン大統領の妻。ルーシーに殺される。

各ステージの概要

レースは全9ステージで構成されており、各ステージで様々なドラマが展開されます。各ステージのスタートとゴール日時と、総合順位の決定方法は以下の通りです。

第1ステージ: 1890年9月25日午前10時開始、終了。
第2ステージ: 9月26日午前10時開始。
第7ステージ: 12月28日15時過ぎにゴール、第8ステージ開始。
第8・9ステージ: 1891年1月18日(19日)早朝に終了。

各ステージの順位に応じてポイントが付与され、総合得点で順位が決まります。

用語

悪魔の手のひら: アリゾナ砂漠に存在する謎の土地。スタンド能力を引き出す力を持つ。
聖人の遺体: 北アメリカ大陸に散らばっている聖人の遺体。奇跡的な力を秘めている。
基本の世界/隣の世界: パラレルワールドの概念。
ネアポリス王国とヴァチカン: ジャイロの故郷である王国。

その他

ドミノ - 第1話冒頭で紹介される競走馬。
黄金比 - ジャイロの説明に登場する数学的概念。
フィボナッチ数およびリュカ数 - 自然界に見られる黄金比に関する数列。
自発的対称性の破れ - 大統領がナプキンを取る際に言及する素粒子論的概念。

書誌情報

デジタルコミック（VOMIC）として配信されている。

キャスト

主要担当声優は上述の通り。実況は太田真一郎。新聞記者Aは大原崇。新聞記者Cは遠藤大輔が担当。

脚注

注釈と出典は省略。

関連項目

アメリカ大陸横断レース - 実際に行われた徒歩の横断レースを参考としている。

外部リンク

スティール・ボール・ラン スペシャルサイト（集英社 S-MANGA.NET）
* 集英社ヴォイスコミックステーション-VOMIC- 『STEEL BALL RUN』

この作品は、壮大なスケールと魅力的なキャラクター、そして予測不可能なストーリー展開で、多くの読者を魅了しています。ぜひ、手に取って、その世界観を堪能してください。

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