スペル星人

スペル星人

スペル星人（スペルせいじん）は、特撮テレビドラマ『ウルトラセブン』に登場する架空の宇宙人であり、その別名は吸血宇宙人です。彼らは第12話「遊星より愛をこめて」に現れ、地球人に擬態した形で数多く登場します。

概要

スペル星人はその母星で行われたスペリウム爆弾の実験によって放射能を受け、その影響で血液が侵されてしまいました。このため、代わりに地球から血液を奪うために地球に来訪します。彼らは目から怪光を放ち、その光線を武器として利用します。

初めは地球人女性の血液を奪うために、特殊な腕時計を撒いていましたが、その後、子供の血液のほうが純粋であることに気づき、ターゲットを子供へと変更します。彼らは「ロケットの絵を描いて宇宙時計をもらおう」というキャンペーンを実施し、子供たちに大量の腕時計を配布して血液を奪おうとしましたが、ウルトラ警備隊の妨害に遭い、彼らの計画は頓挫します。

スペル星人の能力

彼らは地球人の血液を奪うために、腕時計を使った吸血機能を持っています。この腕時計を装着した人間は白血球が減少し、昏倒します。スペル星人はその後、自らのアジトを破壊し、巨大化して地球人の血液を奪おうと宣言します。ウルトラホーク3号を攻撃するなどして抵抗しますが、最終的にはウルトラセブンとの戦闘によって敗北します。

スペル星人のデザインと制作

スペル星人のキャラクターは、当初は甲虫型の宇宙人として描かれていましたが、監督の実相寺昭雄により人型に変更されることとなりました。おそらくそのデザインの影響を受けたのは、白い体とケロイド状の模様です。

さらに、スペル星人に関するエピソードである第12話は、放送されることなく欠番扱いとなってしまいました。この欠番の理由には、抗議活動が背景にあり、特に被爆者の方々が関連する内容であったため、意図不明のままに封印されてしまったとされています。実際にこのエピソードは1970年以降再放送もされておらず、映像ソフトにも収録されていません。

欠番の経緯と評価

第12話の放送が1970年に行われた際、以下のような一連の事件が発端となりました。緊急事態として大量の放射能にさらされた女性が突然昏倒し死亡する事件が発生し、調査の結果、白血球が劇的に減少した「原爆病」に似た症状が見られたことが明らかとなりました。また、作中に登場した腕時計が地球に存在しない金属で作られていることも発見されます。

このエピソードの制作には多くの人の思いが込められていましたが、最終的に物議を醸し抗議の声が高まりました。企画のプロデューサーや脚本家はそのテーマを通じて反核のメッセージを込めていたものの、観客の受け取り方に齟齬が生じ、結局第12話は無期限に封印されてしまうこととなりました。これにより、作品の評価は賛否が分かれ、現在もこの件に関しては議論が続いています。

作品の影響

スペル星人は、そのデザインや物語の設定から、現在でも特撮ファンの間で語り継がれています。彼らの存在は、特撮作品におけるキャラクター制作の難しさや、その後の作品が抱える倫理的な問題について再考を促す重要な事例となるでしょう。これらの出来事を経て、スペル星人は単なる悪役に留まらず、物語の深層に触れる存在として存続しています。

まとめ

スペル星人のキャラクターは非常にユニークであり、彼らに関する物語は『ウルトラセブン』の中でも特に興味深い部分を形成しています。その存在は、特撮作品が大衆の認識や文化にどのように影響を与えてきたのかを考えさせる重要な要素です。彼らのストーリーは、特撮ファンにとって忘れがたいものであり、未だに再評価の声が上がることが期待されています。

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