すまいる

コミュニティバス『すまいる』：福井市中心市街地の足跡

福井県福井市でかつて運行されていたコミュニティバス「すまいる」は、中心市街地の活性化と交通弱者への支援を目的に、1999年から2021年まで親しまれていました。第三セクターのまちづくり福井が運行主体となり、京福バスに運行を委託する体制で、市民生活に密着したサービスを提供していました。愛称の『すまいる』には、笑顔と地域への密着性、そして手軽な移動手段としての意味が込められていました。

概要：市民の足として

『すまいる』は、福井商工会議所と福井県バス協会による試行実験を経て、中心市街地の商店会のニーズを反映して本格運行が始まりました。福井市がまちづくり福井に委託する形で運行され、100円均一の運賃、小型車両による循環ルートを採用することで、利用しやすい交通手段として定着しました。しかし、狭隘道路を通るルートもあったため、遅延が発生することもありました。乗客数は2007年度にピークを迎えましたが、その後は減少傾向を示しました。

沿革：1999年から2024年までの軌跡

1999年から段階的に運行ルートを拡大し、2000年には本格運行を開始しました。2007年には累計利用者数が300万人を突破するなど、市民生活に貢献しました。2008年には深夜バスの実験運行も行われましたが、利用状況の低迷から終了しました。その後も、液晶ディスプレイの案内表示リニューアル、地域型電子マネー「ICOUSA」の導入、ダイヤ改正など、サービス向上のための取り組みが継続されました。2019年には全ルートで改正が行われ、2021年10月1日には京福バスに路線が移管され、一般路線バス「すまいるバス」として新たなスタートを切りました。2024年にはEVバスの導入により環境への配慮も進められています。ICOUSAは2021年9月末でサービスを終了し、現在は全国相互利用サービスに対応した交通系ICカードが利用可能です。

運賃：100円均一を維持

運賃は大人・小児とも1乗車100円均一でした。消費税率改定時にも、利用者減少への懸念から値上げは行われず、京福バスへの移管後も当面は100円均一を維持する方針です。一日乗車券「すまいるバス1日フリーパス」も販売され、沿線施設の割引サービスも提供されていました。

路線：福井駅を中心とした環状ルート

福井駅西口を起点に、東西南北の4ルートが設定され、環状運転を行っていました。各ルートには主要な公共施設、商業施設、学校などが含まれており、市民の生活圏を網羅していました。2016年には福井駅西口のバスロータリーへの乗り入れを開始し、利便性が向上しました。路線バスへの移行後は、各路線とも45分間隔の運行となりました。北ルート（田原・文京方面）、西ルート（照手・足羽方面）、南ルート（木田・板垣方面）、東ルート（城東・日之出方面）と、それぞれ地域の特性を反映したルート設定がされていました。

ルート沿線の主な施設

各ルートには、駅、学校、病院、公共施設、商業施設など、多くの施設が含まれていました。一日乗車券の提示で割引が適用される施設もありました。

運行車両：小型低床バス

運行車両は日野・レインボーと日野・ポンチョの小型低床バスで、定員は35名。自動アイドリングストップ機構や液晶ディスプレイ案内表示装置が装備されていました。各ルートごとに異なる車体色で運行されていました。2024年3月からはEVバスの導入が始まり、環境への配慮も強化されました。

ICOUSA：地域型電子マネー

2011年から2021年まで利用されていた地域型電子マネー「ICOUSA」は、すまいるバスの運賃決済や提携店舗での利用が可能なFeliCaを採用したICカードでした。しかし、交通系ICカードとの相互利用ができなかったことや、提携店舗の減少などから利用は限定的でした。

まとめ：地域交通の貢献と未来

「すまいる」は、中心市街地の活性化や交通弱者への支援に貢献しました。運行形態や車両の変更、ICカードシステムの導入など、時代に合わせて変化を続けました。路線バスへの移行後も、100円均一運賃の維持やEVバスの導入など、市民にとって利用しやすい交通手段であり続けるための努力が続けられています。 今後の更なる発展が期待されます。

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