ゼクシィ

結婚情報誌『ゼクシィ』：ブライダル業界に革命を起こした一冊

『ゼクシィ』は、リクルートが発行する、日本と中国で人気の高い結婚情報誌です。毎月下旬に発売され、地域ごとに内容が異なる点が特徴です。

創刊から現在まで：性染色体から結婚情報へ

1993年5月、首都圏版の創刊でスタート。当初は『XY』という誌名で、性染色体（XXとXY）に由来する命名でした。読み方は現在と同じ「ゼクシィ」です。創刊当初は出会いに関する特集が多くを占めていましたが、1995年からはブライダル専門誌へと路線変更。その後、全国展開し、2013年には20もの地域版が発行されるまでに成長しました。2004年には上海版、2007年には北京版も創刊され、国際的な展開も図っています。

ウェディング情報サイト『ゼクシィnet』の展開

1998年には、結婚準備に関する総合情報サイト『ゼクシィnet』（当初は「イサイズウエディング」）がスタート。会場探しからドレス、指輪、その他結婚準備に関する幅広い情報を提供しています。2001年にはモバイル版も開始し、利用者の利便性を高めました。2007年にはウエディングSNS『花嫁カフェ』も開始しましたが、会員数減少のためサービスは終了しています。

情報誌としての内容と特徴

『ゼクシィ』は、結婚式場、ドレス、指輪、引き出物などの情報に加え、先輩カップルの体験談や費用相場といった、結婚準備に役立つ情報を網羅的に掲載しています。インテリアや海外ウエディングに特化した別冊ムックも発行され、多様なニーズに対応しています。

価格破壊から業界共存へ：時代の変化に対応した戦略

創刊から2000年頃までは、ブライダル業界の価格破壊を志向した時期がありました。「結婚費用節約術100連発」といった、費用を抑えるための記事が多く掲載されていました。これは、当時高額な費用が当たり前だったブライダル業界に風穴を開けるという、革新的な試みでした。しかし、21世紀に入ると方針を転換。業界との共存共栄を重視するようになり、節約を主とした記事は減少しました。

モデルと付録：誌面を彩る魅力的な要素

表紙や特集ページにはプロのモデルを起用する一方、一般から募集した「ゼクシィモデルズ」も起用することで親近感と共感を生み出しています。2000年代以降は、有名ブランドとのコラボ商品など、ユニークな付録にも力を入れています。婚姻届が実際に提出できる付録は話題となりました。特に首都圏版は分厚く、その重量感から「鈍器」「凶器」とまで言われ、女子プロレスでも使用されるほどです。

ゼクシィ結婚トレンド調査：結婚事情を深く知る貴重なデータ

毎年秋には、結婚式を行ったカップルへのアンケート調査結果を発表。結婚式費用、結納、仲人、新婚旅行など、多岐にわたる結婚に関するデータを地域別に分析し、発表しています。地域間の風習の違いなども分かる、貴重なデータとして活用されています。

CMと音楽：記憶に残る数々のキャンペーン

CMには、加藤ローサさんなど、多くの著名な女優やモデル、そして近年は熟年層の著名人も起用。世代を超えた共感を呼び起こしています。CMソングも人気で、斉藤和義さんの「ウエディング・ソング」は、CM用サビ部分から視聴者の熱い要望を受け、フルバージョンとしてCD化されるなど社会現象となりました。その他、数々のアーティストがCMに楽曲を提供しています。

地域版の展開：多様なニーズに対応

首都圏版を始め、全国各地に地域版を展開。関西版は「関西ゼクシィ」と命名され、東京の二番煎じにならないよう工夫が凝らされています。

まとめ

『ゼクシィ』は、結婚情報誌としてだけでなく、時代に合わせて変化し続け、多くの人々の結婚生活をサポートする存在となっています。価格破壊から業界共存への方針転換、記憶に残るCM、個性豊かなモデル、そしてユニークな付録など、その歴史と戦略は、今後のメディア戦略においても参考となるでしょう。

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