ソケットレンチ

ソケットレンチとは

ソケットレンチは、ボルトやナットの締め付け・取り外しに使用される工具の一種です。ソケットと呼ばれる、ボルトやナットの頭に合うように作られた部品と、そのソケットを回転させるためのハンドル類から構成されています。必要に応じてエクステンションバーなどのアクセサリーを組み合わせて使用します。

ソケットレンチは、1920年にスナップオンの創業者であるジョセフ・ジョンソンによって、「少ない工具で多くの作業を」というコンセプトで発明されました。それ以前は、ソケットとハンドルが一体となったレンチしかなく、作業者は様々なサイズのレンチを多数用意する必要がありました。ソケットレンチの登場により、少ない工具で多種多様な作業に対応できるようになりました。

なお、自動車整備などで見られる、ソケットとハンドルが一体になったレンチは、ボックスレンチと呼ばれます。

歴史

ソケットレンチが発明されるまで、レンチはソケットとハンドルが一体型でした。そのため、作業者は異なるサイズのボルトやナットに対応するために、多くのレンチを揃える必要がありました。ソケットレンチの登場は、この問題を解決し、作業効率を大幅に向上させました。

スナップオンが最初に発売したソケットレンチセットは、5種類のハンドルと10種類のソケットで構成されており、「5本で50の仕事をする」というキャッチフレーズで販売されました。当初はラチェット機構は搭載されておらず、1930年代になってから、D.M. Mooreが1864年に特許を取得したドリル用ラチェットハンドルが、ソケットレンチ用のラチェットハンドルとして一般的に使用されるようになりました。

差込角

ソケットとハンドル、アクセサリーを連結するために、ハンドル側には「ドライブ角」と呼ばれる正四角柱状の凸部が、ソケット側には「差し込み角」と呼ばれる角穴が設けられています。これらの連結部は「ユニオン機構」と呼ばれ、使用中のソケットの脱落を防ぐために、ドライブ角には鋼球が、差し込み角には凹みが設けられています。

差込角の種類

差込角のサイズはインチ単位で表記されており、工具が掴む二面幅と区別するために、サイズを表す数字の後に「sq」または「dr」を付記することがあります。

差込角が同じであれば、異なるメーカーの製品間でも互換性があります。ただし、大きなトルクがかかるパワーレンチや、強い衝撃が加わるインパクトレンチには、ハンドツール用のソケットを使用しないように注意が必要です。

主な差込角のサイズは以下の通りです。

1/4" (6.35 mm)：コンパクトで狭い場所での作業に適しています。
3/8" (9.5 mm)：エンジン周りをはじめ、オートバイや小型～普通自動車の整備によく使用されます。
1/2" (12.7 mm)：小型～普通車のシャシーや、中・大型車の整備に使われます。
3/4" (19.0 mm)：大型車のシャシーや、各種定置型機械の整備に用いられます。
1" (25.4 mm)：大型車のシャシー整備に使われます。これ以上のサイズは、倍力レンチやインパクトレンチを使用するのが一般的です。

このほか、1-1/2" (38.1 mm)、2" (50.8 mm)、2-1/2" (63.5 mm) など、さらに大きなサイズの差込角も存在します。

種類

ソケットやハンドルは各社が独自に工夫しており、様々な種類の製品が存在します。また、名称も統一されていない場合があるため注意が必要です。

ソケット

ソケットは通常、六角形のボルトやナットを回すために使用されます。職人用語では「コマ」と呼ばれることもあります。ソケットには、ボルトやナットの山に掛ける部分が12角のものと、6角のものがあります。ボルトのネジ部分が長く飛び出しているナットを回す際には、全長が長いディープソケットが使用されます。

通常のソケットは、ボルトやナットの角にトルクをかけて回すため、力が一部分に集中しやすく、角を傷める可能性があります。これを改良したのが、近年注目されている面接触のソケットです。面接触ソケットは、ボルトやナットの角ではなく、面で力を受け止めることで、応力集中を抑え、より確実にトルクを伝えることができます。

面接触ソケットの元祖は、1960年代にスナップオンが開発したフランクドライブです。現在では各社が独自の名称で面接触ソケットを製造しています。

ハンドル

ハンドルは、ソケットを取り付け、回転させるための工具です。腕力で回らない場合に、ハンドルにパイプをかぶせて延長したり、足で蹴って回すような使い方は、正しい使用方法ではありません。特にラチェットハンドルは破損の原因となるため、そのような使い方は避けるべきです。

アクセサリー

アクセサリーは、ハンドルとソケットの間で使用するもので、エクステンションバーやユニバーサルジョイントなどがあります。

主なメーカー

ソケットレンチの主なメーカーとしては、以下のような企業が挙げられます。

ベータ (Beta)
ファコム (Facom)
ハゼット
山下工業研究所 (Ko-ken)
京都機械[[工具]] (KTC)
TONE (トネ)
マックツールズ (Mac Tools)
プロト (Proto)
スナップオン
スタビレー
ストレート (FLAG)
* ウザック (USAG)



ソケットレンチは、様々な作業現場で必要不可欠な工具です。適切なソケットレンチを選び、正しい方法で使用することで、安全かつ効率的に作業を進めることができます。

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