ソルバルウ

ソルバルウ

『ソルバルウ』(SOLVALOU) は、1991年に日本のゲームメーカーであるナムコ（現在のバンダイナムコエンターテインメント）がアーケード向けに稼働を開始した3Dシューティングゲームです。伝説的な縦スクロールシューティングゲーム『ゼビウス』シリーズの流れを汲む作品として位置づけられていますが、そのゲームシステムや表現においては、従来のシリーズ作品とは一線を画す大きな挑戦が行われています。

概要

本作は、『ゼビウス』の世界観を基に、プレイヤーが自機「ソルバルウ」を操作するというシリーズ共通の要素を持ちつつも、ゲーム体験は大きく変化しました。最大の特長は、当時の最先端技術であったポリゴングラフィックを駆使して、シリーズで初めて完全な3D空間が実現された点にあります。さらに、視点がこれまでの見下ろし型から一転し、プレイヤーは自機「ソルバルウ」のコックピットからの視点、つまり一人称形式（FPS）でゲームをプレイすることになります。この一人称視点と3Dグラフィックの組み合わせは、プレイヤーに高い没入感と臨場感をもたらしました。ゲームセンターに設置されたアーケード筐体も特徴的で、自機ソルバルウのコックピットを模した大型のものでした。ちなみに、後にリリースされた『ゼビウス3D/G』（1996年）もゼビウスの3D化作品ですが、こちらはオリジナルと同じ見下ろし視点を採用しており、『ソルバルウ』とは異なるアプローチを取っています。

ゲームシステム

『ソルバルウ』のゲームシステムには、3D化に伴う変更点の他に、従来の『ゼビウス』シリーズからいくつかの重要な改変が加えられています。まず、プレイヤーのソルバルウには耐久力を持つバリアーが装備されており、これが尽きた状態で攻撃を受けるとゲームオーバーとなる「ライフ制」が導入されました。攻撃システムでは、対空攻撃用の「ザッパー」に新たな機能が追加され、敵が放つ弾の一部を撃ち落として相殺することが可能になりました。また、空中だけでなく地上の敵や特定のオブジェクトに対してもザッパーが有効となり、地上に隠されたソルやスペシャルフラッグを出現させる手段としても利用できます。対地攻撃用の「ブラスター」も進化し、画面上の最大4つの地上ターゲットを同時にロックオンして連続で攻撃できるようになりました。使用したブラスターは時間経過によって自動的に補充される仕組みです。シリーズでおなじみの隠しアイテムであるスペシャルフラッグは、特定の固定位置に配置されており、これを撃つことで取得できます。取得時の自機のシールドの状態によって獲得できる点数が変化し、シールドが最大の時には1万点、そうでない場合はシールド1枚の回復に加えて1000点が得られます。従来のゼビウスでは地上物や地形との接触は原則無害でしたが、本作では地上の敵や地形、障害物との直接接触はダメージを受ける仕様になっています。この仕様の一部は『ゼビウス3D/G』にも引き継がれました。

評価と移植

アーケードで稼働した『ソルバルウ』は、当時のゲーム業界でも注目を集めました。ゲーム雑誌『ゲーメスト』が主催した「第6回ゲーメスト大賞」（1992年度）の企画において、読者投票によりベストグラフィック賞の3位に選ばれています。これは、シリーズ初のポリゴンによる3D表現が高く評価された結果と言えるでしょう。家庭用ゲーム機への移植は、稼働から長い年月を経て、2009年に初めて実現しました。任天堂のWii向けダウンロードサービス「バーチャルコンソールアーケード」のラインナップとして配信されたものです。Wii版はアーケード版のゲーム内容を忠実に再現しており、Wiiリモコンのポインティング機能を活用することで、自機の照準を直感的に操作するガンシューティングのようなプレイ感覚を味わうことができました。ただし、ゲーム中に大量のオブジェクトや巨大なボスが出現するような処理負荷の高い場面では、わずかに処理速度の低下（処理落ち）が見られることが指摘されています。このWii版の配信は、2019年1月31日をもって終了しました。

開発スタッフ

本作の開発には、プロデューサーとして真鍋正氏、ディレクターとしてWAN WAN氏が名を連ねています。ゲームの音楽は川田宏行氏が担当しました。

『ソルバルウ』は、『ゼビウス』という不朽の名作シリーズに、当時の最新技術と斬新なゲームシステムを融合させた、ナムコの実験的かつ意欲的な作品です。一人称視点での3Dシューティングという新たな方向性を提示した点は、シリーズの歴史においても特筆すべき挑戦と言えるでしょう。

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