ダッジ・バイパー

ダッジ・バイパーの概要

ダッジ・バイパー（Viper）は、アメリカ車の中でも特に人気があるスポーツカーで、クライスラーのダッジ部門とSRTの製造により展開されていました。1991年に初めて市販モデルが登場し、自動車愛好家やレースファンの注目を浴びる存在となりました。バイパーはその名の通り、強力なV型10気筒エンジンを搭載し、そのパフォーマンスで数々の記録を打ち立てることとなります。

開発の背景

バイパーは、クライスラーのボブ・ラッツの指導のもとで開発されました。シボレー・コルベットに対抗するために設計されたこの車両は、1960年代の名車、シェルビー・コブラにインスパイアを受けています。エンジニアにはコブラの製作に携わったキャロル・シェルビーも関与しており、車名も毒蛇の意味を持ち、コブラ同様に強力な性能が期待されました。

1989年に初めてコンセプトカーが公開され、1991年には記念すべき市販モデルが登場しました。当初は限定生産の予定でしたが、販売の好評を受けて長期にわたり生産が続けられました。

エンジンと性能

バイパーには、特異なV型10気筒エンジンが搭載されており、排気量は8リットルを誇ります。このエンジンは、当時のダッジ・ラムから派生したもので、ランボルギーニによる鍛造技術が施されています。パワーは最大で450馬力から640馬力に達し、圧倒的な加速性能を誇ります。

モデルの変遷

1. 初代（1991年-2002年）
- 1991年に販売が開始され、初期モデルはオープンカーのRT/10のみでしたが、その後クーペ版のGTSが追加されました。日本への正規輸入は1997年から行われ、一時は1000万円を超える価格で販売されていました。

2. 2代目（2002年-2010年）
- 2002年にモデルチェンジが行われ、SRT/10としての新たな時代が始まりました。このモデルではエンジンが改良されて8.3リットルとされ、パワーも510馬力に達しました。デザインは日本の鹿戸治が手掛けており、シリーズのさらなる進化を遂げました。2008年モデルではさらなる改良が施され、最高出力は600馬力まで向上しています。

3. 3代目（2012年-2017年）
- 2012年にSRTとして再登場したバイパーは、8.4リットルエンジンを搭載し、640馬力に達しました。全車クーペスタイルに統一され、軽量化や剛性強化が図られましたが、2017年には生産が終了しました。これは、米国の安全基準を満たすことができなかったからです。

レース活動とチューニング

バイパーはその性能を活かし、多くのレースでの成功を収めました。特にバイパーGTS-Rは、ル・マン24時間レースでの活躍が顕著です。また、ACRモデルではサーキット走行に特化した仕様が導入され、多くのファンから支持を受けました。さらに、サードパーティによるチューニングカーとしても人気が高く、ヘネシーパフォーマンスによるヴェノムシリーズは特に有名です。

ニュルブルクリンクでの記録

バイパーはまた、その記録的なタイムでも注目されました。2008年にはニュルブルクリンク北コースで7分22秒1を記録し、市販車として最速の座を獲得しました。その後もバイパーACRは様々なタイムを叩き出し続け、スピードとパフォーマンスの象徴として存在感を示しました。

結局、バイパーはそのユニークなデザインと卓越した性能、豊かなレース活動を通じて、アメリカンスポーツカーの歴史に名を刻む存在となり、多くのファンに愛され続けています。

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