ティグレ

ティグレ（Tigray、tigre）という言葉は、世界各地の地理的な場所、特定の民族や言語、動植物、そして様々な団体や商品名、人名など、実に幅広い事柄を指し示す、多義的な語です。

地理的な文脈では、アフリカのエチオピア連邦民主共和国に位置する行政区画の一つがティグレ州であり、ティグライ州とも表記されます。この州は、後に述べる民族や言語としての「ティグレ」とは、地理的・文化的に明確に区別される地域です。また、南米のペルーには、アマゾン川の支流の一つであるティグレ川が存在します。

アルゼンチン共和国のブエノスアイレス州には、ティグレ・パルティードと呼ばれる行政区画があり、その政庁所在地であるティグレもまた自治体として存在します。このティグレの地を本拠地とするプロサッカークラブは、CAティグレとして知られています。

民族や言語に関連する用法としては、エチオピアおよびエリトリアに居住する特定の人々を指す呼称としてティグレ民族があります。そして、このティグレ民族が使用する言語はティグレ語と呼ばれ、特にエリトリア北部で話されています。

一般名詞としては、フランス語やスペイン語をはじめとする複数のロマンス語において、「ティグレ」は獰猛な肉食動物である「トラ」を意味します。

食品としては、その見た目がトラの毛皮の模様に似ていることから名付けられた洋菓子の一種があります。中心部にチョコレートなどを流し込んで焼き上げられるのが特徴的な焼き菓子です。

人名やそれに類するものとしては、フランスの著名な諷刺作家ピエール・ド・レニエが、イラストレーターとして活動する際に用いた変名の一つがティグレです。また、プロレスの世界においては、複数の覆面レスラーがリングネームやギミックとして「ティグレ・ブランコ」（白いトラの意）を名乗っており、メキシコのレスラー、セルヒオ・グスマン・シルバが初代とされています。さらに、1987年生まれの日本の覆面レスラー、タイガー・キッドも、その通称や変名としてティグレと呼ばれることがあります。

日本の団体や企業に関連する例も複数あります。1973年に設立された日本の非営利経済団体は、かつて大阪府中小企業連合会という名称でしたが、後にティグレと改称されました。この団体を中心とする関連グループはティグレグループと呼ばれ、税理士法人や行政書士法人、政治団体など、様々な組織で構成されています。株式会社ティグレ[1]は、このグループの中核を担う企業の一つであり、主に経済団体の会員である中小企業の経営者に対して、納税、労務、経営に関するコンサルティングなどのサービスを提供しています。また、ティグレ事業協同組合は、外国人技能実習生の監理や特定技能外国人材の登録支援といった事業を行っています。これらとは別に、1998年に設立された日本の株式会社ティグレ[2]は、東京都港区に本社を置き、化粧品や下着、貴金属の販売、さらには病院や診療所などの医療施設の運営といった、全く異なる事業を展開しています。

これらの多岐にわたる「ティグレ」という言葉の用例は、関連する「タイガー」や「トラ」といった言葉の曖昧さ回避ページにも繋がることがあります。

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