ハリセン

ハリセンについて

ハリセン（張り扇）は、日本の漫才やコントといったお笑いのパフォーマンスで用いられる特徴的な小道具です。昭和期にお笑いグループ「チャンバラトリオ」のメンバーである南方英二が考案したとされており、その名は「張り倒すために作られた扇子」という意味から来ています。ハリセンの形や機能は、古典的な萬歳における張扇から派生しています。

ハリセンの歴史と進化

ハリセンの先祖にあたる道具は、太夫（ツッコミ役）が使用する扇子の親骨を抜いたものです。この道具を使って、ボケ役の頭を叩くという珍しい演出が演じられていました。年代不明の速記本『滑稽高級萬歳大会』には、実際に扇子で頭を叩く様子が記録されています。このように、漫才のツッコミスタイルは進化し続け、時代と共に様々な道具や演出が試みられました。

明治から大正時代にかけては、ツッコミの役割を随時見直し、多様な試行錯誤が行われました。例えば、漫才作家の龝村正治によれば、当時人気お笑いコンビの一つである浅田屋朝日は、くり抜かれた桐の拍子木を使用してボケ役を叩いていました。このように、多くのお笑いグループが独自のスタイルを確立する中で、徐々にハリセンの形が明確になっていったのです。

現代のハリセン

今日のハリセンは、厚手の紙で作られた蛇腹状のスタイルが主流で、片側は持ち手としてガムテープなどで強化されています。扇の部分で他人の頭や顔を叩くのが一般的です。この道具は見た目以上に痛みが少なく、「良い音を鳴らしつつ痛くない」ことが特徴です。チャンバラトリオによって普及し、大阪や関西のお笑い文化の象徴となっています。

使用の自粛とその背景

しかし、2022年には放送倫理・番組向上機構が「痛みを伴うことが笑いの対象となるのは問題がある」とし、ハリセンの使用を自粛する方針が示されました。この意見は、他者の痛みを笑いの対象にすることで青少年の発達に悪影響を与える可能性があるとの考えから来ているため、ハリセンを用いるコメディ番組のスタイルは変化を余儀なくされています。

ハリセンを用いた著名なグループや番組

ハリセンは数多くのお笑いグループやテレビ番組で使用されており、例としてチャンバラトリオやその弟子たちが挙げられます。彼らはツッコミの代わりにハリセンを活かした演出を楽しげに行っています。また、MBSテレビの「モーレツ!!しごき教室」やフジテレビの「THE STAMP SHOW!!」のように、ハリセンを使ったユーモラスな演出が多く見られます。

ハリセンはまた、多くのフィクション作品にも登場しています。例えば、『のだめカンタービレ』では一キャラクターのあだ名に、また『魔法先生ネギま!』などでは武器として使われています。

ハリセンとともに育まれた文化

このように、ハリセンは日本のお笑い文化と密接に関わっており、その存在は今でも色褪せることがありません。お笑いを愛する人々にとって、ハリセンはコミカルで親しみのあるアイコンと言え、これからもそのスタイルは進化していくでしょう。ハリセンを通じて、笑いの文化がどのように受け継がれ、形が変わっていくのか、今後の動向が楽しみです。

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