バイアリーターク

バイアリーターク：サラブレッド三大始祖の謎めいた生涯

サラブレッド三大始祖として名高いバイアリーターク(Byerley Turk、生年はおよそ1679年、没年1705年)は、イギリス軍馬として活躍した後、種牡馬としても大きな成功を収めた馬です。その生涯には謎も多く、いまだ解明されていない部分も残されています。

謎に包まれた出自

バイアリータークの出自については諸説あります。ジェネラルスタッドブックにはターク種と記載されていますが、残された絵画からはアラブ馬の特徴が見て取れます。そのため、トルコ生まれのアラブ馬だったのではないかという説が有力視されています。名前の由来も、馬主であるロバート・バイアリー大尉から名付けられたという説が一般的です。

その渡英の経緯も不明瞭です。1688年（または1687年）の「ブダペストの戦い」（またはウィーン付近での戦闘）で、敗走するトルコ軍からバイアリー大尉が捕獲したと伝えられています。当時8歳だったと推定されており、生年が1679年とされているのはこの推定に基づいています。しかし、その前までの経歴は全く分かっていません。

軍馬としての活躍

イギリスに渡ったバイアリータークは、バイアリー大尉の愛馬として軍馬として活躍しました。1689年にはアイルランドに派遣され、1690年のボイン川の戦いでは、ウィリアム3世側として反乱軍鎮圧に貢献したと言われています。敵軍に包囲された際に、その素早い身のこなしで難なく脱出したという逸話も残されています。

さらに、1690年には北アイルランドのダウンロイヤルで行われた競馬で勝利したという記録も残っています。競走馬としての活躍はこれが唯一の記録ではありますが、他にも出走した可能性は否定できません。

種牡馬としての成功とサラブレッドへの貢献

ボイン川の戦い後、バイアリータークは種牡馬として供用されるようになりました。しかし、初期の繁殖成績は芳しくなく、優れた産駒は少なかったです。その直系子孫もすぐに消え去る可能性もあったと言われています。現在、サラブレッドの遺伝子プールにおけるバイアリータークの割合は3.3パーセント程度と、他の三大始祖と比較すると低い数値です。

しかし、1760年代以降、その玄孫であるヘロドとその子ハイフライヤーが大きな成功を収めたことで、バイアリータークの血統はサラブレッド界に大きな影響を与えることになります。現在でもその血統は存続しており、ダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアンと共に三大始祖としてその名を刻んでいます。

バイアリータークの死とその後

1705年に死亡したバイアリータークは、ヨーク郊外のゴールズバラに埋葬されたと言われています。その生涯は謎に満ちていますが、サラブレッドの歴史において、重要な役割を果たしたことは間違いありません。その血統は現在も世界中のサラブレッドに受け継がれ、その偉大なる功績は今も語り継がれています。

主な産駒

バスト (Basto):いくつかのマッチレースで勝利
ジグ (Jigg): ヘロドの曽祖父
ブリストル (Bristol's or Mostyn's)
ラトランドズブラックハーティ (Rutland's Black Hearty): 産駒の活躍あり
スプリット (Sprite): 数勝
アーチャー (Archer)

バイアリータークの生涯は、謎と成功物語が交錯する、魅力的な歴史です。サラブレッドという偉大な血統の礎を築いた馬として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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