バイオベンチャー

バイオベンチャーについて

バイオベンチャーとは、バイオテクノロジーの技術や手法を基に事業を進める新興企業を指します。特にこの分野では、医薬品の開発や健康、農林水産業、環境問題への対応など、幅広いテーマに特化した企業が見受けられます。アメリカやヨーロッパでは、これらの企業は「Biotech Companies」と呼ばれ、設立年数や規模によって「スタートアップ」や「中小企業（SMEs）」と区別されます。特に医薬品開発を行う企業は「創薬ベンチャー」として知られています。

定義と条件

バイオインダストリー協会では、以下の4つの条件を満たす企業をバイオベンチャーと定義しています：
1. バイオテクノロジーを事業の中心または対象としていること
2. 中小企業基本法に基づく中小企業としての要件を満たしていること
3. 設立から20年未満であること
4. 研究開発、受託研究サービス、製造、先端科学関連のコンサルティングを主たる事業内容としていること

これらの条件を満たすバイオベンチャーは、日本国内でも増加しており、さまざまな分野での活動が見られます。2014年度の調査では、研究支援分野に属する企業が117社、医療・健康分野に取り組む企業が86社となり、これらの二つで約7割を占める結果となりました。また、多くのバイオベンチャーが大学との連携を通じて技術を取得し、「大学発ベンチャー」も多数存在しています。

事業の展開

従来の低分子医薬品の開発は、資金と時間がかかるため大企業に依存していた部分が大きいのですが、バイオ[[医薬品]]の分野では比較的少ない資本で新しいアイデアを実現する土壌が整いつつあります。特に、製薬業界においては開発された医薬品の特許が切れる「2010年問題」が迫る中、新たな製品や技術を生み出す必要に迫られ、外部の技術に目を向ける動きが進みました。製薬企業は特にバイオベンチャーとの提携や買収を進め、新薬のパイプライン拡充を図っています。

創薬ベンチャーは製薬企業とライセンス契約を結び、自社のパイプライン開発を進めていくことが一般的です。これらの契約にはアップフロント、マイルストーン・ペイメント、ロイヤリティといった要素が含まれており、開発の各段階が経済的なサポートによって供給されます。しかし、副作用の発見や有効性の不確実性から、製品化に至らないリスクも見逃せません。特に一つのパイプラインに依存する場合、事業自体の存続が危ぶまれる事態を引き起こす可能性があります。

歴史的背景

バイオベンチャーの歴史は1976年に遡り、大腸菌を用いてインスリンを製造した米国の「ジェネンテック」が最初とされています。その後、アムジェンやバイオジェンといった企業が1980年代に創業し、製薬会社との提携によって規模を拡大しました。1990年代にはヒトゲノム計画の進展から新たなベンチャーが次々と現れましたが、日本では1990年代後半からバイオベンチャー設立に拍車がかかり、2002年が特に活発な年でした。政府の支援策やベンチャー向け市場の開設もこの動きを助けましたが、2006年にあたる「バイオバブル崩壊」と2008年のリーマン・ショックが影響し企業数は減少に転じ、創薬型のビジネスモデルへの移行が求められるようになりました。

主なバイオベンチャー

日本において有名なバイオベンチャーには、「ペプチドリーム」、タカラバイオ」、「ネクセラファーマ」、「ユーグレナ」などがあります。その時価総額はそれぞれ数百億円から数千億円に上り、特に時期の古い企業には「アンジェスMG」や「メディネット」が名を連ねています。また、アメリカには「アムジェン」や「ギリアド・サイエンシズ」など、さらに大規模なバイオベンチャーも存在し、時価総額は10兆円を超えるケースも少なくありません。これらの企業は今後のバイオテクノロジーの発展にとって重要な役割を担うことが期待されています。

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