パンドラMAXシリーズ

パンドラMAXシリーズ：1980円の超大作が織りなす、周回プレイの物語

1999年、パンドラボックスよりPlayStation向けに発売された『パンドラMAXシリーズ』。シリーズ全作品のプロデュースを手がけたのは、同社社長の飯島健男氏です。

このシリーズ最大の特徴は、その価格設定とゲームデザインにあります。1本1980円という低価格ながら、やり応えのある高クオリティなゲーム性を追求。キャッチコピーにもある通り「1980円の超大作」として、多くのゲーマーを魅了しました。

シリーズ共通のモットーは「1プレイは10時間以内、でも繰り返し遊ぶほどに味わいが増すスルメのようなゲーム」。1周クリアで終わるのではなく、周回プレイを通じて新たな発見や楽しみを見出す設計がなされています。ただし、『ONI零〜復活〜』は一本道の大長編シナリオとなっています。

飯島氏は、攻略本インタビューで「ソフトを5本収納できるボックス付き仕様を5作品ごとにリリースしたい」と語っており、第5作『ごちゃちる』ではその言葉通り、ボックスと攻略本がセットになった限定版も発売されました。しかし、シリーズは続く第6作で幕を閉じました。

各作品の魅力とコンバートシステム

シリーズ全作品には、コンバートシステムが搭載されています。これは、以前発売された同シリーズソフトのセーブデータを読み込むことで、隠しイベントの出現やレアアイテムの入手など、様々な特典を得られるシステムです。過去作との繋がりを深め、周回プレイへの意欲を高める工夫と言えるでしょう。

また、全作品には「おまけ」メニューが存在。ファンレターを紹介するコーナーや、シリーズ作品の紹介映像、ミニシナリオ『ごちゃちる』などが収録されていました。『ONI零〜復活〜』では紹介映像が過去作品の紹介に絞られ、「ラインナップ」と名称変更されています。ちなみに、ミニシナリオ『ごちゃちる』は後にシリーズ第5作として独立した作品となりました。

シリーズ作品一覧

パンドラMAXシリーズVOL.1 ドラゴンナイツグロリアス
パンドラMAXシリーズVOL.2 死者の呼ぶ館
パンドラMAXシリーズVOL.3 ラビッシュブレイズン
パンドラMAXシリーズVOL.4 Catch! 〜気持ちセンセーション〜
パンドラMAXシリーズVOL.5 ごちゃちる
パンドラMAXシリーズVOL.6 ONI零〜復活〜

2009年8月26日からは、ゲームアーカイブスにて全作品が配信され、現在もダウンロード可能です。

未発売に終わった幻の作品たち

シリーズ作品紹介映像で予告されながらも、発売されなかった作品も存在します。それらは、開発が進んでいたり、イラストや設定が公開されていたりにも関わらず、様々な理由により日の目を見ることはありませんでした。

リストラの朝

当初はシリーズ第5作として予定されていたアドベンチャーゲーム。リストラされた中年サラリーマンが自作爆弾で会社に復讐を企てるも、会社は既にテロリストに占拠されていたという、異色のストーリーです。「心の癒しゲーム」「リストラ男のダイ・ハード」といったキャッチコピーも存在しました。5作品ごとのボックス企画から、限定版には不向きと判断され、発売延期の後、結局発売に至りませんでした。

闇の蛹

当初はシリーズ第6作として予定されていた、記憶喪失の主人公が登場するアドベンチャーゲーム。開発途中で予告編が簡略化され、発売日も未定となり、そのままお蔵入りとなりました。同人ソフト『学校であった恋い話』の攻略本にて、飯島氏は『四八（仮）』に本作と『リストラの朝』を意識した要素を入れる予定だったと語っています。なお、『ドラゴンナイツグロリアス』には本作のパロディとも言えるエンディングが存在します。

ラビッシュブレイズン2

『ラビッシュブレイズン』の続編。シナリオライターとキャラクターデザインは前作同様のスタッフが担当予定でしたが、企画段階で頓挫しました。

ONI零〜流転〜

『ONI零〜復活〜』の続編。ゲーム内エンディングで予告されましたが、シリーズ終了により発売されませんでした。過去作のキャラクターが集結する内容が予定されていました。飯島氏は自身のブログで、いつかこのシリーズに決着をつけたいと発言しています。

パンドラMAXシリーズは、低価格ながらも高いクオリティと、周回プレイを促す独特なゲームデザインで多くのゲーマーを魅了した、忘れがたいシリーズと言えるでしょう。未発売作品も含め、その魅力は多くのファンを惹きつけ続けています。

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