ピッキング行為

ピッキング行為とは

ピッキングとは、鍵を使用せずに、ピッキングツールと呼ばれる特殊な器具を用いて錠前を解錠する行為を指します。この行為は、錠前を破壊せずに開けることができるため、不正な侵入手段として用いられることがあります。ピッキングは、鍵を紛失した際の開錠作業など、鍵業者にとっては一般的な技術であり、講習会も開催されています。

ピッキングの概要

ピッキングは、特にシリンダー錠に対して行われることが多く、テンションと呼ばれる器具でシリンダーを回転させ、ピックと呼ばれる器具でタンブラーを操作して解錠します。熟練した者であれば、10秒程度で解錠することも可能と言われています。この手口は、ドアや窓を破壊する侵入方法と比較して、痕跡が残りにくく、侵入中に発見されるリスクが低いことが特徴です。

日本におけるピッキングの動向

日本では、かつてディスクシリンダー錠が広く普及していました。1990年代後半からピッキングによる侵入事件が急増し、社会問題となりました。しかし、2000年代に入ると、ピッキング対策が進み、認知件数は減少に転じました。

ピッキングツール

ピッキングには、様々なツールが用いられます。

ピック: タンブラーを操作するための道具で、鍵の形状を模倣したものが用いられます。フックピック、ダイヤモンドピック、ボールピックなど、様々な種類があります。
テンション: シリンダーを回転させるための道具で、ピンの移動を防ぐ役割も担います。
ピックガン: 複数のピンに同時に衝撃を与え、一瞬でシアラインを整えるための道具です。

これらのツールは、錠前の種類によって使い分けられます。

ピッキング対策

ピッキングの被害が拡大したことを受け、日本では防犯性の高い錠前が開発・普及しました。全国防犯協会連合会は、防犯性の高い錠前をCP認定錠として認定しています。これらの錠前は、従来のタンブラー錠を改良したものや電子ロックなど、様々なタイプがあります。

また、2003年には「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」（ピッキング防止法）が制定され、正当な理由のないピッキングツールの所持は違法となりました。この法律は、マイナスドライバーやバールなどの工具の所持も規制対象としています。

その他の侵入手段

ピッキング対策が進んだ一方で、サムターン回しやカム送り解錠、鍵の破壊などの別の侵入手段も存在します。また、扉や窓を破壊する手口や、窓やベランダからの侵入も考えられます。そのため、住居への侵入を防ぐためには、ピッキング対策だけでなく、総合的な防犯対策が必要不可欠です。

参考文献

2001年、『鍵の本 カギ業界vs仁義なき犯罪集団』、シーズ情報出版
松本剛、許斐武夫、2004、『「鍵」が危ない!』、エクスナレッジ
鍵と錠の研究会/著『鍵開けマニュアル』データハウス、2006年

関連項目

バンプキー
溶解破錠
サムターン回し
空き巣

外部リンク

防犯性能の高い建物部品目録 (7.ア 錠)
住まいる防犯110番 手口で見る侵入犯罪の驚異

もう一度検索