フライングガーデン

株式会社フライングガーデン

株式会社フライングガーデンは、栃木県小山市に本社を置くファミリーレストランチェーン「フライングガーデン」を展開する外食企業です。2023年12月現在、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の関東5県で計58店舗を運営しています。一時は2008年の最盛期に関東地方に68店舗を構え、福島県では幸楽苑との提携による店舗も存在しました。創業時の1990年代後半までは「フライングタイガー」という屋号でした。

看板メニュー「爆弾ハンバーグ」

フライングガーデンの代名詞ともいえるのが、看板メニューの「爆弾ハンバーグ」です。このハンバーグは、つなぎを使用せず牛肉100%で作られており、俵型のようなユニークな形状をしています。その誕生は1988年、当時の小学生だった現社長・野沢卓史氏が「フライングガーデンで一番おいしいものは？」と尋ねたことに応える形で、創業者である現会長の野沢八千万氏が自ら開発しました。以前にもハンバーグメニューは存在しましたが、満足いく出来ではなかったため、販売を休止していました。「店の名前よりも有名にしたい」という創業者の強い思いから、1991年の社内会議で全員の反対を押し切って「爆弾ハンバーグ」と命名されたと言われています。

爆弾ハンバーグの提供スタイルは非常に特徴的です。網で表面をカリッと焼き上げた状態で客席に運ばれ、接客スタッフが目の前で俵型のハンバーグを二つに切り分けます。熱々の鉄板の上で、顧客自身が好みの焼き加減に調整できる仕組みです。ソースをかける際には肉汁やソースが飛び散るため、紙ナプキンでのガードが推奨されます。焼き加減はミディアムが基本ですが、要望に応じてウェルダンにも対応します。この独特な提供方法は、客席でのライブ感を生み出し、フライングガーデンの大きな魅力となっています。爆弾ハンバーグの調理や切り分けには社内資格が設けられており、提供品質の高さが保たれています。

サイズは200gの「クイーン」と250gの「キング」があり、クイーンを2つ乗せた合計400gの「ダブル」も提供されています。ソースは和風ソースとにんにく醤油ソースが基本で、追加料金でチーズソースや山わさびソースに変更も可能です（期間限定ソースが登場することもあります）。かつては高齢者の要望に応えた150gのサイズも存在しましたが、現在は廃止されています。この爆弾ハンバーグは、同社の売上高の約45%を占める主力商品であり、その人気ぶりがうかがえます。

爆弾ハンバーグの製造は、栃木県河内郡上三川町の「テクノパークかみのかわ」にある自社工場「栃木工場」で行われています。以前は外部委託でしたが、設備老朽化などを機に2012年に工場を建設し、2013年2月からは全店舗で自社製造品を提供しています。徹底した品質管理のため、個包装で配送され、調理直前に開封されます。

会社の歩みと経営戦略

フライングガーデンの歴史は、創業者・野沢八千万氏が洋食店での経験を積んだ後、1976年に群馬県桐生市で開いたピザとクレープの店「ノザワ」から始まります。1980年にアメリカ視察を通じて郊外型レストランチェーンの可能性を感じ、1981年に法人を設立。1984年にはフライングガーデン1号店を新桐生にオープンし、現在の爆弾ハンバーグの原型となるメニューもこの頃に投入されました。1996年には現在の社名である株式会社フライングガーデンに変更しています。

2004年にはジャスダック市場に株式を店頭登録し、企業としての信頼性を高めました。これにより、新卒採用への応募者が増加するなど好影響がありました。株式公開後は一時的に原材料価格高騰などの影響で赤字を計上した時期もありましたが、2015年3月期以降は黒字を維持しています。株主優待として、持ち株数に応じた優待券や商品を提供しています。

同社は新業態の模索も行っており、2008年には女性層などをターゲットにしたカフェダイニング「マリア・テラス」を開店しましたが、目標未達のため短期間で閉店しました。また、2020年にはテイクアウト専門店「フラガ☆デリカ」をオープンするなど、時代の変化に対応した試みを続けています。一時、幸楽苑と提携し福島県に進出したこともありましたが、この提携は現在解消されています。経営戦略としては、ファミリーレストランから鉄板肉料理専門店への転換を図り、食材品質の向上や店舗改装などを進めています。

店舗の特徴と顧客サービス

フライングガーデンの店舗は、東京郊外のロードサイド立地を志向しており、遠くからでも目立つことや夜間の立ち寄りやすさを重視した出店戦略を展開しています。顧客サービスとしては、かつてはホスピタリティを重視し設置していなかった呼び出しボタンを、顧客からの要望に応え2015年から順次導入し全店に設置しました。また、2009年からはドリンクバーを導入し、新たな顧客層の開拓を図っています。終日ライスのお替り自由（ランチタイムはスープも含む）といったサービスも提供しています。

かつて顧客に大変親しまれていたサービスの一つに、毎月第1・第3水曜日に開催されていた「金券半額返還フェア」があります。これは食事代の半額相当を食事券で還元するものでしたが、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中断され、残念ながらその後再開されることなく終了となりました。

その他

フライングガーデンは、テレビドラマや映画の撮影場所としても利用されたり、「秘密のケンミンSHOW」などのバラエティ番組で紹介されたりするなど、メディアへの露出も多くあります。爆弾ハンバーグに類似する、客席で切り分けるスタイルのハンバーグを提供する企業としては、静岡県の「炭焼きレストランさわやか」や神奈川県の「ハングリータイガー」などが知られています。

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